ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
新聞・週刊誌「三面記事」を読み解く

アマゾン「お坊さん便」問題、お布施は寄付なのか対価なのか

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第175回】 2016年9月3日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 夏の甲子園大会が佳境に入り、今年はオリンピックまで開催され、さらに、SMAPの解散まで報じられたお盆シーズンだったが、この時期はお坊さんの“かき入れ時”でもある。地方に行けばよく見られる光景だが、お坊さんたちは檀家を回り、ご先祖さまの供養のため読経を施す。関東地方のある住職が言う。

 「うちの寺の檀家は五〇〇軒。朝から晩まで走りまわってますよ。お布施の額は一軒あたり数千円から一万円程度で、一週間で三〇〇~四〇〇万円くらいになる」

 宗教法人には課税優遇の特権が与えられているため、こういったお布施をはじめ、平均五〇万円と言われる葬儀の際のお布施、人によっては一〇〇〇万円を超えるという“戒名代”、お墓の永代使用料等々、それらが宗教行為とみなされれば収入は全て非課税となる。所得税や固定資産税なども全部非課税だ。

 一週間で得た四〇〇万円のお布施にも税金がかからないのだから、なるほど、坊主丸儲けである。先だっては前都知事のファーストクラス利用の海外視察や都議の高額視察も物見遊山だと批判されたが、お坊さんたちも“研修”の名目で中国やインドへ出かけては現地の繁華街で遊びまわっているんですよ。中には奥さん同伴でショッピングしまくりのお坊さんもいるのだとか。ご存じでしたか?

 ただし、豪遊できるのは多くの檀家を抱える大きなお寺か、拝観料(ろうそくや線香と合わせ年間億単位の収入=非課税)を見込める由緒あるお寺に限られる。日本の宗教界は、一部の富める坊主と大多数の貧しい坊主とに分けられるようだ。

 コンビニエンスストアは全国に約五万三〇〇〇店ほどあるそうなのだが、文化庁に登録されている寺院は七万軒を超えるというから、過疎が進む地方では檀家も減って寺を維持できないと嘆く僧侶も増えている。後継者のいない赤字の寺を引き受けて住職をかけ持ちし、過労死寸前の僧侶もいるとのことだ。

 さらに、どこかの怖い組織のように、宗派に納める“上納金”制度があるのだという。近畿地方の住職が言う。

 「檀家数や寺格などで金額が決まりますが、たとえばうちなら檀家が約四〇軒で上納金は年間五〇万円です。赤字の寺でも上納金は払わなければならず、宗派が貧乏な寺に金銭支援をすることはいっさいありません。宗派に相談しても、宗教貴族がベンツで乗りつけて“う~ん、どうにもならないね”などと言って帰っていくだけです」

 信仰には救いや救済があると聞いていたのだが、どうやら嘘らしい。ご同業も救えない宗教に、信徒さんを救われるわけがない。

 そんな宗教界に激震が走ったのが二〇一三年のことだった。「みんれび」という会社が『僧侶の手配サービスチケット(通称「お坊さん便」)』というサービスを始めたのである。法事の際、指定された場所に「みんれび」登録の僧侶を派遣し、経をあげてもらうといったサービスだ。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


新聞・週刊誌「三面記事」を読み解く

三面記事は、社会の出来事を写し出す鏡のような空間であり、いつ私たちに起きてもおかしくはない事件、問題が取り上げられる。煩瑣なトピックとゴシップで紙面が埋まったことから、かつては格下に扱われていた三面記事も、いまでは社会面と呼ばれ、総合面にはない切り口で綴られるようになった。私たちの日常に近い三面記事を読み解くことで、私たちの生活と未来を考える。

「新聞・週刊誌「三面記事」を読み解く」

⇒バックナンバー一覧