診断給付金が拡充されたり
介護に関する保険が増えたり
生きるための保険が増えてきた

 また、入院しても平均在院日数は短縮傾向だ。1975年に55.8日だった平均在院日数(全年齢の総数)は、08年には35.6日となっている。06年、小泉政権下の医療保険制度改革で、医療費適正化(削減)の一環として入院日数の短縮が目標とされ、今もその方針は踏襲されているため、今後も平均在院日数は短くなることが予想される。ところが、入院日数が短縮傾向でも、それがそのまま医療費に反映されるわけではない。

「公的医療保険には医療費の自己負担額を一定額までに抑える高額療養費制度があるので、際限なく医療費がかかるわけではありません。しかし、入院時に個室を利用したり、健康保険が使えない先進医療を希望すると、医療費が負担になる場合もあり、医療費の自己負担額はニーズによって多様化しています。こうした医療制度の変容やニーズに注目し、がんの診断給付金を主契約にした商品、がんで働けなくなった場合の収入を保障(または補償。以下同)する商品などが発売されるようになっていますね」(和泉氏)

 また、高齢化による介護ニーズが注目されているが、医療保険は介護保障としては使えない。そうした介護ニーズに着目し、要介護度が低い段階でも保障する介護保険なども発売されるようになった。

「入院はしないけれど病気やけがで働けなくなった場合の所得保障をする就労不能保険など、ニーズの変化による生きるための保険が増えてきていますね」

保険の役割と自分の
価値観とすり合わせを

 そもそも、保険は手持ちの貯蓄では賄えないような損害額を被る、といった大きなリスクをカバーするときに力を発揮する。

「その際、いくらくらいの負担を重く感じるのかは人それぞれ。入院費用は貯蓄で賄うという考えもありますが、病気で弱っているときに貯蓄が減ると気が滅入る人もいます。最近は自分のニーズに合わせてさまざまな保障を選べるようになっています。手持ちの預貯金や自分の性格なども含めて、納得感のある保障を選ぶようにしてみましょう」

 個々の保障に焦点を当てた保険のほかにも、家族の状況やライフステージに応じて、その都度、適切な保障に見直せる商品もある。また、個々の保障は問題なく見えても、全体で俯瞰すると保障が重複していたり、不足しているケースもある。そうした過不足を自分で見つけるのは難しいが、最近は生損保の枠を超えたコンサルティングを受け、過不足ない保障を得られる商品も出ている。この機会にあなたも保険を見直してはいかがだろうか。

週刊ダイヤモンド」2010年11月20日号も併せてご参照ください
この特集の情報は2010年11月15日現在のものです