住民主導で工事を行い
終の棲家をつくる

 修繕工事項目の中で見落としがちなのは、各戸の電気容量不足を解消するための電気幹線設備の容量アップやエレベーターの更新といった工事。省エネ時代とはいえ、各戸が保有する電気製品の数は確実に増えている。20年前に決めた契約容量の上限では足りないという声は、高経年マンションほど大きくなる。

 エレベーターも省エネ、バリアフリー、耐震対策などの観点から一定期間を過ぎたら更新することが望ましい。動いて当たり前のものだが、機械としての経年劣化は避けられない。計画的に資金をためておきたいものの一つだ。
「大規模修繕工事を住民主導で行うことで、住民同士に連帯感が生まれ、親密なコミュニティ、いわば“タテの町内会”を形成することができる。そして建物の適切な箇所を適切に工事することが、かつて60年といわれた建物の耐用年数を80年、100年と延ばすことになる」

 大規模修繕工事に住民が積極的に関わることは、“終の棲家”づくりの一歩なのである。