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日銀、物価2%達成先送りに3つの誤算

ロイター
2016年9月6日
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9月6日、白井さゆり前日銀審議委員(慶大教授・アジア開発銀行研究所客員研究員)は、ロイターとのインタビューで、日銀の総括検証に関連し、物価2%の達成時期の先送りが繰り返された背景に3つの誤算があったと述べた。写真は日銀本店。3月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 6日 ロイター] - 白井さゆり前日銀審議委員(慶大教授・アジア開発銀行研究所客員研究員)は、ロイターとのインタビューで、日銀の総括検証に関連し、物価2%の達成時期の先送りが繰り返された背景に3つの誤算があったと述べ、日銀は経済・物価見通しの甘さを認めなければ、処方せんを誤ると警告した。

 政策の持続性確保に向け、国債買い入れの減額とマイナス金利の深掘りのパッケージを提案した。

 5日に行ったインタビューで白井氏は、量的・質的金融緩和(QQE)の導入から3年余りが経過しているにもかかわらず、物価が目標の2%に到達できていない背景として、予想インフレ率、潜在成長率、需給ギャップが想定通りに改善しなかった「日銀の3つの誤算」を挙げた。

 予想インフレ率は「皮肉なことに、今年1月にマイナス金利政策の導入を決定して以降、下がってしまった」とし、「日銀に対するクレディビリティが低下し、予想インフレ率を引き上げる力が弱まったと見ることもできる」と語った。

 また、マイナス金利の導入で名目金利が大きく低下したにもかかわらず、予想インフレ率も低下したことで、日銀が効果波及経路の起点と位置づける実質金利が「思うように低下せず、需給ギャップも改善しなかった」と述べた。

 特に潜在成長率は、日銀試算でゼロ%台前半での推移が続き「原油価格の下落ではなく、潜在成長率が予想通りに上がらなかったことが経済・物価見通しの下方修正の主因であったことを認めない限り、日銀は処方せんを誤る」と指摘した。

 そのうえで物価2%目標の実現には時間がかかるとし、まず1%を目指して、それを達成したうえで、日銀・政府・国民が「2%を目指すべきかを議論する2段階が現実的」と主張。

 金融政策の持続性確保には、大きくフラット化したイールドカーブをスティープ化させ、年金や保険のビジネスモデルに対する不安を抑制することが不可欠とし、国債買い入れの減額に合わせたマイナス金利の深掘りと、物価目標の柔軟化をパッケージで示すべきだとした。

 もっとも、現在の日銀が「持続的な政策への枠組み転換を模索しているとは思えない」とし、2017年度中としている2%達成時期のさらなる先送りと、追加緩和に直面すると予想。

 国債買い入れ増額を決断すれば、イールドカーブのフラット化に拍車をかけると述べ「マイナス金利の深掘りが選択される可能性が大きい」と語った。

(伊藤純夫 木原麗花 編集:田巻一彦)

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