「SAP Ariba コマース イノベーション フォーラム」の講演会場には、企業の調達・購買部門、経理・財務部門、経営企画部門の担当者がつめかけた

調達・購買の合理化とコンプライアンス強化をテーマとする「SAP Ariba コマース イノベーション フォーラム」が7月28日開催された。その模様と、各スピーカーから提起された日本企業が抱える調達・購買をめぐる課題と解決策などについてリポートする。

日本の調達・購買
業務が抱える課題

「SAP Ariba」は、企業の調達・購買におけるサプライヤー管理、価格交渉、契約、発注、調達・購買データの可視化(収集・分析)などの活動をクラウドベースのソリューションで総合支援するグローバル企業だ。

 同社が運営する企業間調達ネットワーク「Ariba Network」には世界約200万社が参加し、取引額は年間1兆ドルにも及ぶ。

 そのアドバンテージのもと、世界の調達・購買の潮流を知り尽くしたSAP Aribaが主催するフォーラムとあって、当日は日本を代表するさまざまな企業の調達・購買部門、経理・財務部門、経営企画部門の担当者が約350人も参加。会場のグランドプリンスホテル新高輪・国際館パミールは、梅雨明け間もない館外の猛暑に負けないほどの熱気に包まれた。

基調講演、パネルディスカッションのモデレーターを務めた、アクセンチュア執行役員の馬場昭文氏

 SAP Ariba アジア パシフィック ジャパン統括のグラント・クリンチ氏による開会の挨拶に続き、基調講演ではアクセンチュアの馬場昭文執行役員・オペレーションズ本部統括本部長が「Ariba × As a Serviceがもたらす調達変革」と題し、間接材調達を中心に世界で起こっている変革の実情を説明した。

 馬場氏はまず、「企業のSGA(販売費および一般管理費)の大半は間接材の購買費であり、これをいかに削減するかがコスト管理の重要なカギを握る」と指摘。また、日本企業においてはMRO(備品・消耗品)ばかりが間接材と認識されがちだが、実際には物流、マーケティング、専門サービス、IT・通信、設備・建設、旅費・交通費、エネルギーなど多岐にわたる項目が含まれ、「これらの費用を総合的に減らしていく取り組みが求められている」と指摘した。

 そうした認識は欧米企業では当たり前になっており、調達・購買部門はあらゆる間接材を取り扱っているが、「日本企業においてはMRO以外の間接材は事業部門ごとに調達・購買が行われており、全社的な変革に取り組んでいる企業が少ないのが実情」だと馬場氏は語る。