調達改革を妨げる
3つの壁を打ち破るには?

SAP Ariba 最高戦略責任者のクリストファー・ヘイデン氏、 日本アリバ バリューエンジニアリング ディレクターの 小野寺富保氏

 その原因について、歴史的な背景から解説したのが、同フォーラムの後半に登壇した日本アリバの小野寺富保バリューエンジニアリング ディレクターだ。

 小野寺氏は、「始めよう! 真の調達・購買改革」という講演の中で、「欧米では、経済の成熟化に伴う売り上げの伸び悩みとともに企業のコスト削減意識が高まり、コンプライアンスへの対応も迫られたことから間接材の集中購買が進歩したが、日本ではMROのカタログ販売が独自の進化を遂げ、それが間接材イコールMROという認識を企業に植え付けてしまった」と分析。また、日本の製造業では直接材の製品・サプライヤーを製造・設計部門が選定し、購買部門が調達・購買するという分業体制が一般的だが、「間接材についても同様の分業体制を当てはめる企業が多く、それが調達・購買部門への集中や戦略的な調達・購買の取り組みを妨げる原因のひとつになっている」との小野寺氏の指摘には、多くの参加者がうなずいていた。

 前出の馬場氏は基調講演で、企業が調達改革を実現するには、「越えなければならない3つの壁がある」と語っている。

「各事業部門がMRO以外の間接材の調達・購買業務を手離さないのは、部門ごとの目利き(専門性)に基づいて製品やサプライヤーを選定したいと考えているから。これは、調達・購買部門が全社のニーズを的確に把握し切れない『カバー不足』の壁といえる。このほか、サプライヤーとの情報の非対称性によって適正価格による調達が困難となる『情報不足』の壁、調達改革を行ってもその取り組みが定着せず、結局元に戻ってしまう『フォロー不足』の壁にも直面しやすい」(馬場氏)