ドイツのメルケル首相の提唱の下に10月下旬に合意形成されたユーロ加盟国に対する恒久的救済メカニズム設立に、アイルランドのコーエン首相は当初は歓迎の意を表明していた。5月設置のIMF拠出分も含む救済プログラム(2011年まで)を恒久化することは、本来はユーロを安定させる。

 しかし、被救済国の国債を保有する民間投資家に負担を求める方針が示されたため、アイルランド国債の価格は暴落した。11月12日にユーロ圏の財務大臣が、民間に負担は求めないと緊急声明を出してようやく一服感が出たものの、まだ楽観はできない。英「エコノミスト」誌によると、今年第3四半期の同国の住宅価格は前年同期比17%の大幅下落だった。銀行の不良債権は膨張しやすい状況だ。

「アイリッシュ・インディペンデント」紙(11月15日付)は1面で、財務大臣がEUに銀行救済用資金を求めようとしていると報じた。同政府の資金繰りは来年まで大丈夫なので、国ではなく銀行救済をお願いしたいという苦肉の案。IMF管理下を回避しつつ、救済を得る道を探っている様子だ。