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夏目三久と有吉弘行の熱愛を報じない芸能マスコミの不思議

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第176回】 2016年9月10日
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 二世俳優の高畑裕太が宿泊先のホテルの女性従業員を暴行したとして逮捕されたのが先月二三日午前三時半過ぎのことだった(容疑は強姦致傷罪。その後九月九日に示談成立で不起訴処分)。

 第一報が報じられると、芸能リポーターのみならずスポーツ各紙は事実確認に急ぎ、ワイドショーはてんやわんやの様相を呈した。裕太の母親が紫綬褒章受章の大物女優・高畑淳子だったことや、四日後に放映される日テレの看板イベント『愛は地球を救う』に裕太がパーソナリティとして出演を予定していたこと、そして起こした事件が事件だっただけに、SMAPの解散報道も吹き飛ぶほどのインパクトを与えた。

 問題は、翌二四日の日刊スポーツである。ニッカンは、フリーアナ夏目三久と売れっ子芸人・有吉弘行の“熱愛”を報じた。夏目アナはすでに妊娠していて、二人は年内に結婚する方向で予定を調整。来年三月をもって夏目はMCを務める『あさチャン!』(TBS)を降板するという大スクープだ。

 お盆明けのワイドショーは、たいへんな騒ぎになるはずだった。

 が、何故か、ワイドショーが時間を割くのは裕太が起こした事件の詳細と本人の性癖、さらには女優である母・淳子の面会、謝罪会見に関する内容ばかりで、有吉‐夏目の熱愛についてはどのワイドショーも報じようとしなかった。

 スクープ当日の『情報ライブ ミヤネ屋』には、当の日刊スポーツ芸能デスクがゲスト出演していたにもかかわらず、熱愛報道はスルーされた。それで多くの人が首を傾げたのだが、裕太の事件と母子関係が大きく取り上げられたのには、もうひとつ別の理由があった。

 淳子は、西田敏行が退団した後の『青年座』では取締役に就任し、一部では“女帝”などと囁かれていた。なかなかに気性が激しいことで知られているが、裕太の同級生によるこんな証言もある。

 「(小学生時代の裕太は)学校にエロ本を持ってきたり、授業中も落書きばかりしていました。先生が注意すると、家に帰ってしまうのです。するとお母さんが『うちの子に、何言ったの!』と怒鳴り込んでくる。五年生の頃、禁止されていた携帯電話を裕太が持ち込んで、先生に没収されたことがあります。そのときもお母さんが『没収期間の電話代は先生が払え!』と凄んだのです。二十代の女性の担任は病気になって、学校に来られなくなった。まさにモンスターペアレントでした」

 週刊誌の編集部に乗り込んで凄むようなことはしないものの、代わりに、淳子は“NG媒体”を指定することでも業界では有名だった。NG媒体というのは、取材をいっさい受けない週刊誌のことで、淳子は気に入らない記事を書いた週刊誌をことごとくNG媒体にしたのだそうだ。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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三面記事は、社会の出来事を写し出す鏡のような空間であり、いつ私たちに起きてもおかしくはない事件、問題が取り上げられる。煩瑣なトピックとゴシップで紙面が埋まったことから、かつては格下に扱われていた三面記事も、いまでは社会面と呼ばれ、総合面にはない切り口で綴られるようになった。私たちの日常に近い三面記事を読み解くことで、私たちの生活と未来を考える。

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