ガブリエル、メイヤスー……
「21世紀の時代精神」とは?

<3>実在論的転回
   …カンタン・メイヤスー、マルクス・ガブリエルほか

「自然主義的転回」や「メディア・技術論的転回」とは別に、フランスやドイツでは、「思弁的実在論」とか「新実在論」と呼ばれる潮流が胎動し始めています。この動きは、英米やイタリアをも巻き込んで、しだいに大きなうねりとなってきました。

そうした傾向を示すものとして、2011年に論集『思弁的転回』が編集されています。「大陸の唯物論と実在論」というサブタイトルをもつこの書の序文で、編集者たちは最近の傾向を次のように表現しています。

さまざまな面白い哲学的な傾向と、地球のあちこちに散らばったその拠点は、支持者たちを獲得し、そうした傾向を象徴するような著作の臨界量を生みだし始めた。こうした傾向をすべて網羅するのに十分な、単一の名前を見つけるのは困難ではあるが、私たちは「思弁的転回」という名称を、今や退屈になった「言語論的転回」に対比するものとして熟慮したうえで提案する。サブタイトルの「唯物論」と「実在論」というのは、新たな傾向をいっそう明確にしているが、同時に物質的なものと実在的なものの間の可能な区別も維持している。

このような「思弁的転回」がどこへ向かうのか、今のところあまりはっきりしませんが、「唯物論」や「実在論」という名称が示唆するように、構築主義とは異なって、「思考」から独立した「存在」を問題にするのは、間違いなさそうです。

そのため、ここでは全体の流れを総称して、「実在論的転回」と呼ぶこともできるでしょう。この「転回」を提唱している研究者たちは、若手が多く、大きな可能性を秘めているように感じます。

こうして、現在では、ポストモダン的な「言語論的転回」の後に、3つの新たな「転回」が提唱されている、と考えることができます。もちろん、この3つで、現代世界の哲学的な動向を網羅できるわけではありませんが、最近の目立った傾向として注目すべきだと思います。そこで次回(9/14公開)以降において、それぞれの動きをもう少し詳しく見ていくことにしましょう。