今回は中国のエネルギー業界を見ていきたいと思います。まずは代表的な原油の動向からです。国際原油価格は2008年7月に147ドルの過去最高値をつけましたが、その後の金融危機で価格は急落。2008年12月には約5分の1となる32ドルの安値を付けました。その後原油価格は反発しています。

 ここで長期的な観点から原油の需給を俯瞰してみましょう。まずは需要ですが、世界の人口は現在も増え続けており、65億の人口はあと30年で30億人増えると予想されています。また、中国やインドなどの新興国の生活水準の上昇が急に止まるとは思えません。仮に数年間不況になったとしても、その構図は変わることなく、長期的には人類がかつて経験したことがないレベルにまで需要を押し上げていきます。

 一方で供給ですが、2000年以降は伸び悩んでおり、需要の伸びを上回ることはありませんでした。

今年、世界の原油生産はピークを迎え
長期的には枯渇する方向へ!?

 注目したい点として、多くの人が意識していないことですが、2010年をピークに世界の大油田の生産量が急速に減少に向かう可能性が高いということがあります。

 現在米国は、世界最大の原油供給国であるサウジアラビアの6割程度の原油しか生産していません。しかし、もともと米国は、1970年代まではサウジアラビアの2倍を産出する世界最大の産油国でした。1970年にアメリカの原油がピークを迎えて減少に向かうなどと想像する人はほとんどいませんでした。

 しかし、実際には「米国の巨大油田発見のピーク」から40年経ったアメリカの油田は、1970年代前半を「生産のピーク」とすると、以後は急速に減少し続けました。同時に、アメリカ人の石油消費と日本経済の隆盛で、石油価格はなんと10倍になりました。これが1973年に起きたオイルショックです。

 当時のオイルショックは中東戦争やOPECによる価格吊り上げによって起こったものという解釈があります。中東戦争勃発時の1973年末、イスラエルに対するアメリカの支援に報復してアラブ諸国が米国向け原油を禁輸にしたために原油は暴騰したというものです。しかし、本質的な原因はこの需給ギャップにあると考えます。