そんな何も育たない酸性土壌ですが、酸性土壌にまっ先に生えてくるのが根が深いスギナです。

 雑草の中でも、枯らすのが大変で数ある雑草の中でも一番の嫌われものでもあります。
 ただ、このスギナ、不思議なもので成分が珪素とカルシウムが主成分です。
 カルシウムはアルカリ性になります。
 つまり、スギナが枯れることによって自然と土が中性に向かいます。
 酸性土壌にアルカリ性のものが生えるのはとても不思議だと思いませんか。

 そんなスギナの次に生えてくるのが稲科の雑草です。
 稲科の雑草は、根が深く入るので土を自然に耕してくれます。
 そして、土ができてくると、生えてくるのが豆科の雑草です。
豆科は、空気中の窒素を土に固定してくれるので、まさに土を肥やすといいます。
 この豆科の雑草が生えてくると、どんな野菜も育てることができるようになってきます。

『ラピュタ』が滅びた理由

それぞれのステージで生えてくる雑草が違ってくる!
 稲科の雑草の種も豆科の雑草の種はそこにあるはずなのに、土の状態で生える種類が決まってくる!
 このことを目の当たりにしてきて、自然の摂理は本当にすごいと思いました。
 土づくりといいますが、人は土をつくれない、育つのを手伝えるだけなんだと実感しています。

 土づくりを語るとき、私はいつも『天空の城ラピュタ』の中の言葉を思い出します。

「ラピュタがなぜ滅びたのか、私よくわかる。
 ゴンドアの谷の詩にあるもの。
 土に根を下ろし 風と共に生きよう
 種と共に冬を越え 鳥と共に春を歌おう
 どんなに恐ろしい武器を持っても、
 たくさんのかわいそうなロボットを操っても、
 土から離れては生きられないのよ」

(1986年、スタジオジブリによって制作されたアニメ映画より)

 

 文字どおり、地に足をつけている農家。
土がないと人は生きていけない
 そんな当たり前のことを実感させてくれます。