経営×ソーシャル
ソーシャルのいま
【第7回】 2016年9月20日
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武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役]

ソーシャルメディアは売上増加につながるのか?実例を徹底解剖

消費者コミュニティが活性すると、企業には具体的にどのようなメリットがあるのだろうか。活性に成功した消費者コミュニティはどれほどの経済的効果をもたらすのだろうか。筆者が代表を務めるクオン株式会社が開催した「QON DAY 2016」で発表された導入企業の最新事例を参考にしながら、ソーシャルメディア・マーケティングの最前線の具体を見ていこう。

コミュニティをオープンして1年間は「活性」に集中すべし

ソーシャルメディア活用で売上増加ができている企業は、一体どのような戦略を取っているのでしょうか

 前回までの議論を踏まえ、今回は、「消費者コミュニティはマネタイズするのか?」という問いに対するひとつの回答を示したいと思います。ちょうど本年6月、クオン創業20周年を機に開催した「QON DAY 2016」において、株式会社クレハ、ヒューマンアカデミー株式会社、森永乳業株式会社の消費者コミュニティの最新事例を、各ご担当者の方々からご報告いただいたので、そちらを例に取り上げながら、活性した消費者コミュニティがどのように経済効果との両立を実現していくのか、その具体についてご紹介します。

 まず、前回のコラムの最後に議題となっていた、活性について触れておきたいと思います。企業が消費者コミュニティを活用するうえで、活性は欠かせない重要なステップです。活性がなければ収益化に結びつけることもできません。コミュニティをオープンしてから1年間は、「すべての稼働を活性に集中させるフェーズ」と言っても過言ではありません。そのくらい「活性」はコミュニティの収益化を支える重要な土台になるのです。

 では、消費者コミュニティはどのように活性するのでしょうか。コミュニティを活性させるメソッドは、「Appeal(呼び掛け)」「Role(役割)」「Reword(報酬)」「Facilitation(進行)」の4つの要素が重なり合って機能します。

 まず、コミュニティに参加者を集めなければなりません。コミュニティの集客には、最適な方法とタイミングがあります。「誰を」「いつ」「どこから」「どのように」集めるのかが重要になります。コミュニティオープン時はもちろん、オープン以降も、コミュニティの成長段階に合わせて、参加者を適切に集客します。

 さて、コミュニティに集まった参加者は集めればすぐに行動してくれるわけではありません。参加者が行動を躊躇するのは、そこで求められている行為が分からないからです。参加者は役割を与えられることで行動を起こします。コミュニティ参加者の個性を掴み、「投稿」「拍手」など、それぞれのタイプに適した役割を設定します。

武田 隆(たけだ・たかし) [クオン株式会社 代表取締役]

日本大学芸術学部にてメディア美学者武邑光裕氏に師事。1996年、学生ベンチャーとして起業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。花王、カゴメ、ベネッセなど業界トップの会社から評価を得て、累計300社のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア (矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリン支局、大阪支局開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、第6刷のロングセラーに。JFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」の司会進行役を務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


ソーシャルのいま

ソーシャルメディア・マーケティングの第一人者である筆者が『ソーシャルメディア進化論』を出版してから早4年。ソーシャルメディアを取り巻く状況は大きく変化した。一体何が変わり、何が変わっていないのか。当時の状況を振り返りつつ、現在の状況について考察を深めていく。

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