株式レポート
9月13日 14時26分
バックナンバー
著者・コラム紹介

株式レポート

日々の最新市況ニュース、個別銘柄のトピックスや値上がり・値下がりランキング、テクニカル分析等のニュースを配信します。また重要経済指標の事前予想や結果の分析、ストラテジスト、アナリストの相場分析も読めます。(記事提供:フィスコマネックス証券

>> 最新株式ニュース一覧はこちら
>> 株式レポート一覧はこちら

マネックス証券

長期金利上昇と金融機関の利益の関係:「事実」と「誤解」 - 金融テーマ解説

主要国の金融政策が注目を集める中、世界的に長期金利が上昇している(図表1)。日本でも9月20-21日の金融政策決定会合と総括的検証を前に、イールドカーブのスティープ化、すなわち、長期金利を日銀の買入額縮小等で引き上げ、長短の金利差を拡大するのでは、との報道が出ており、市場にはこれを先取りする動きが出ている(図表2)。

これらの憶測で、日本の金融業界全体の株価が上昇傾向にある。確かに、金融機関にとって、金利は下がるよりは上昇する方がよい。特に、正常な市場であれば、長期金利は将来の経済成長を示すため、景気敏感株と長期金利は正の相関があってしかるべきだ。しかし現在の債券市場は多分に需給に支配されており、経済成長を素直に表したものではない。実際には、長期金利上昇自体が金融機関の利益に与える影響は、業態によってまちまちである(図表3)。

特に銀行については、後述するように、長期金利上昇時の収益メリットは近年薄れている。これに伴い、長期金利と銀行株の相関も近年途切れていた(図表4、図表5)。固定金利貸出の税引前利益への影響は、長期金利0.2%上昇につき毎年せいぜい+1~3%程度と推定される(3年程度で固定金利貸出がロールオーバーされると仮定した場合)。国債投資収益への影響は、今後の投資方針次第であるが、下記の通り、規制が強化されているため安易に長期投資を増やすことは難しい。従って、今後さらに長期金利が上昇したとしても、銀行の株価が長期金利に連動するのは行き過ぎである。

なぜ過去みられたほどの恩恵がないのか。銀行の収益に与える長期金利上昇の影響と今後の見通しを整理する。

長期金利上昇/イールドカーブのスティープ化の銀行利益への影響度鈍化の背景

1)資産と負債の期間ミスマッチへの規制
金融機関の儲けの源泉の一つが、低い短期金利で調達し、高い長期金利で運用するという長短の金利格差(ミスマッチ)を利用することである。これが、長期金利上昇および、イールドカーブのスティープ化が金融業界の収益にプラスとされる最大の根拠である。

しかし銀行は、2007年に導入された規制で、運用と調達の期間ミスマッチのリスクの量が制限されるようになった(図表6)(原則として、金利が2%変動した時に生じる資産と負債の価格の変動を銀行の資本の20%以下に抑制することなどが求められている)。

更に今年4月、BISにより、金利リスクに対する規制が若干強化された。IRRBB (Interest Rate of Risk in Banking Book)規制と呼ばれ、金利リスクの計算方法が高度化される予定である。このため、長短のミスマッチを生かした収益拡大は今後益々難しくなると思われる。

2)短期市場金利連動貸出の増加
1990年代から、企業向け貸出に短期市場連動型金利が適用されるようになった。これ以降、銀行が独自に決める「プライムレート」をベースとした貸出が、徐々にTibor、Liborなどの短期市場金利連動の貸出に改められていった。今では、大手行で貸出の5割、地域銀行で2割強が短期の市場金利に連動している(図表7)。

固定金利の貸出は、固定物の住宅ローンやプロジェクト・ファイナンス等が代表的だが、競争が激しい現状では値引き幅が大きく、貸出金利は必ずしも長期金利にリンクして上下動しているわけではない。しかも、短期プライムレート連動の貸出と違って、一度貸出を行った既存の固定のローン金利が長プラの変動に応じて上昇するわけでもない。

このため、長期金利だけが上昇しても、大手行で2割、地銀で3割の固定金利貸出等が借り換えられる時まで待たなければ利益へのプラス効果は出ない。仮に、長期金利が0.2%上昇し、固定金利等の貸出が毎年3割ずつ高い金利に置き換わったとしても、利益へのプラス影響は大手行で年間0.6%、地銀で2.7%と、マイナス金利深掘り影響(翌年直ぐに、5%、20%の減益)に比べて大幅に小さい(図表8)。

3)国債の保有の減少

銀行の最大の長期投資は国債であるが、国債の保有残高は2012年3月末をピークに下落に転じている(図表9)。

16/3月末時点で、残存期間5年を超える国債残高は保有国債全体の2割弱で、金額にして約10兆円に留まる(3メガ合計、図表10)。この金利が0.2%上昇しても200億円(今期会社予想経常利益約3兆円の0.6%)の増益にすぎない。

マイナス金利導入後、大手行では若干国債のデュレーションを長期化しているが(図表11)、これに伴う金利収益拡大のメリットもまだ限定的である。しかも、今後これを更に長期化できるかというと、先に述べた資産負債の金利ミスマッチに対する規制もあり、更に、来年以降、今はゼロとなっている国債投資のリスクウェイトが見直される可能性が高まっている。このため銀行は、現時点で国債リスクを安易に増やすわけにはいかない。

長期金利の見通しと金融機関の株価

日銀の総括検証後、図表2に示したような施策が取られた場合、長期金利は更に上昇するだろう。しかし、上記で見てきたとおり、それだけでは、収益メリットは限定的である。

更に、長期金利のみが上昇すれば円高が誘発される可能性が高い。為替に対する影響を回避しつつイールドカーブをスティープ化させるには、銀行の収益ダメージの大きいマイナス金利の深掘りが現実味を帯びてくる。

従って、今後、金融政策の手段としてイールドカーブのスティープ化説が強まれば、銀行にとっては、収益のマイナス影響がプラス効果を上回る可能性が高い。更なる長期金利上昇期待は、株価上昇要因と捉えるべきではないだろう。

■ご留意いただきたい事項
マネックス証券(以下当社)は、本レポートの内容につきその正確性や完全性について意見を表明し、また保証するものではございません。記載した情報、予想および判断は有価証券の購入、売却、デリバティブ取引、その他の取引を推奨し、勧誘するものではございません。当社が有価証券の価格の上昇又は下落について断定的判断を提供することはありません。
本レポートに掲載される内容は、コメント執筆時における筆者の見解・予測であり、当社の意見や予測をあらわすものではありません。また、提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更又は削除されることがございます。
当画面でご案内している内容は、当社でお取扱している商品・サービス等に関連する場合がありますが、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。
当社は本レポートの内容に依拠してお客様が取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。
本レポートの内容に関する一切の権利は当社にありますので、当社の事前の書面による了解なしに転用・複製・配布することはできません。当社でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動・金利の変動・為替の変動等により、投資元本を割り込み、損失が生じるおそれがあります。また、発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込み、損失が生じるおそれがあります。信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
なお、各商品毎の手数料等およびリスクなどの重要事項については、マネックス証券のウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」(※)をよくお読みいただき、銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身のご判断で行ってください。
((※)https://info.monex.co.jp/policy/risk/index.html)

■利益相反に関する開示事項
当社は、契約に基づき、オリジナルレポートの提供を継続的に行うことに対する対価を契約先金融機関より包括的に得ておりますが、本レポートに対して個別に対価を得ているものではありません。レポート対象企業の選定は当社が独自の判断に基づき行っているものであり、契約先金融機関を含む第三者からの指定は一切受けておりません。レポート執筆者、並びに当社と本レポートの対象会社との間には、利益相反の関係はありません。

(マネックス証券)


マネックス証券
株式売買手数料(指値) 口座開設
10万円 30万円 50万円
100円 250円 450円
【マネックス証券のメリット】
日本株投資に役立つ「決算&業績予想」、信用取引ではリスク管理に役立つ信用取引自動決済発注サービス「みまもるくん」が便利。米国株は最低手数料5ドル(税抜)からお手軽に投資が可能で、米国ETFを通じて世界中に分散投資できる。投資先の調査、リスク管理、リスク分散など、じっくり腰をすえた大人の投資ができる証券会社と言えるだろう。一方、短期・中期のトレードに役立つツールもそろっている。逆指値ほか多彩な注文方法が利用できる上に、板発注が可能な高機能無料ツール「新マネックストレーダー」が進化中だ。日本株、米国株、先物取引についてロボットの投資判断を日々配信する「マネックスシグナル」も提供しており、スイングトレードに役立つ。
【関連記事】
◆AKB48の4人が株式投資とNISAにチャレンジ!「株」&「投資信託」で資産倍増を目指せ!~第1回 証券会社を選ぼう~
◆マネックス証券おすすめのポイントはココだ!~日本株手数料の低さ、ユニークな投資ツールが充実しているネット証券大手
マネックス証券の口座開設はこちら!

 

株主優待名人の桐谷さんお墨付きのネット証券!最新情報はコチラ!
ネット証券口座人気ランキングはコチラ!
NISA口座を徹底比較!はコチラ
株主優待おすすめ情報はコチラ!
優待名人・桐谷さんの株主優待情報はコチラ!

 

Special topics pr

ZAiオンラインPickUP
[クレジットカード・オブ・ザ・イヤー2017]2人の専門家が最優秀クレジットカードを決定! 2017年版、クレジットカードのおすすめはコレ! おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き その 【株主優待】最新の株主優待情報更新中! アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カードは、 本当は“ゴールド”ではなく“プラチナ”だった!? 日本初のゴールドカードの最高水準の付帯特典とは?
ランキング
1カ月
1週間
24時間
じぶん銀行住宅ローン 「アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード」付帯サービスはプラチナカード顔負け!最強ゴールドカード 実力を徹底検証 アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!


 

9月号7月21日発売
定価730円(税込)
◆購入はコチラ!

Amazonで「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!


【攻め&守りの高配当株&株主優待ベスト117】
攻めと守りで儲かる高配当株」の投資法
今が買い高配当株52銘柄を大公開
高配当株億を作った個人投資家のワザ
・27%超も!「株主優待」目的別ベスト117
・「優待+配当」の合計利回りランキング
確定拠出年金読者損益リアル白書
・17年上半期の投信上昇率ランキング
4年ぶりの買い場高利回りJリート
LINEなど5大ポイントの貯める&使うテク
定年後の5年間でトクする働き方
東芝など不祥事株の売り・買い診断
・東証1部昇格期待株を先回りで狙え!
不足する高齢者施設の問題点とは?

「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!

>>「最新号蔵出し記事」はこちら!

>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

Apple Pay対応のクレジットカードで選ぶ! Apple Payに登録して得する高還元率カードはコレ! 堀江貴文や橘玲など人気の著者のメルマガ配信開始! クレジットカードに関するクチコミ情報大募集中!