不正駐車を防ぐ
驚きの仕組みとは?

「人手とコストをかけずにやる方法として、考えたはてにたどり着いたのは、ユーザーの皆さんに監視役になっていただくことでした。せっかく駐車場の現地に行かれるのですから、その目を活かさない手はないと。アプリに『不正駐車報告』ボタンをつけて、ご報告いただいた方には300円分のポイントを差し上げる仕組みにしています。ユーザーの方なら深夜早朝も含めていつ駐車場にやって来ても不思議ではないので、定期巡回よりも効果的だと考えています」(株式会社シード 代表取締役 吉川幸孝氏)

アプリ画面に「不正駐車報告」ボタンが。人手をかけずに不正駐車を防ぐ狙いで、報告してくれたユーザーには300円分のポイントを贈呈する

 かように先駆的なスマートパーキングだが、今後の課題は規模の拡大だろう。電子書籍リーダーなどもそうだが、利用シーンごとに複数のアプリを使い分けるのはどうしても面倒だから、こういったアプリは利用可能な母集団が大きいものがどうしても強くなりがちだからだ。

 現在、NTTドコモが「docomoスマートパーキングシステム」という似たようなシステムを開発し、実証実験を行っている。これが正式サービスとしてリリースされれば、時間貸しとリアムタイム空車検索に対応した駐車場シェアサービスが一気に全国に広がることになり、競争の中から新たなイノベーションも出てくるに違いない。

 シェアリングエコノミーの代表格であるUberとAirbnbには、万が一の事態にどう対応するかという、サービス提供者のモラルと危機管理意識が問われる問題が大きく立ちはだっており、そうした緊急事態への対策に誠実にコストをかけてきた老舗事業者の経営を揺るがしかねない弊害もある。駐車場は、その意味では人の介在がより少なくて済むため、“シェア”の実験場としてもより適しているのではないか。

 スマートパーキングが先鞭をつけた「時間貸し」「リアルタイム空車情報」は、駐車場シェアリングを活性化する起爆剤となりうるものだ。この流れを引き継いださまざまな取り組みが、日本におけるシェアリングエコノミーの将来像を描きだすことに期待したい。

(待兼音二郎/5時から作家塾(R)