クラシック回帰への潮流がますます強くなった今季、ドレススタイルではあらためて正統派のネイビースーツの価値が見直されている。コンテンポラリーな感性を絶妙にさじ加減した大人の男性ならではの着こなしで、王道といわれるネイビースーツを楽しんでみてはいかがだろう。

まずは品格ある素材と形を見極めよ

ドレスマナーは上質素材を
適正サイズで装うこと

FACTELIER
堅実かつ端正な美しさが
誠実な印象を演出してくれる

白シャツ×ネイビータイのシンプルな着合わせを知的に見せてくれる端正なネイビースーツは、ほどよくシェイプが利いたベーシックな2ツ釦モデル。ドット感が表面に出るように織られた凹凸ある生地が全体に肩の力が抜けた柔らかい雰囲気を醸し出してくれる。スーツ10万8000円〜(オーダー価格)、シャツ1万1880円、タイ1万4040円、ベルト1万800円〈全てファクトリエ 03-5843-8786〉 靴7万5600円〈三陽山長/三陽山長 銀座店 03-3563-7841〉 チーフはスタイリスト私物


 ネイビーが定番色だといっても、その色合いは明るいものからダークトーンまで多彩だ。素材や生地の糸使いで深みのあるトーンのネイビースーツこそが、ミドルエイジのビジネスエリートに合った落ち着きを演出してくれるはずだ。

 生地は天然素材が基本。光沢感ある化繊生地は安っぽく見えて、感性も疑われかねず、ビジネスシーンでは避けた方が賢明だ。長時間の会議や移動などハードワークに耐え得る素材を考えるなら、繊細な糸で織られたいわゆる高級ファブリックも避けた方が無難。最近は耐シワ性や耐久性に優れた上質な天然生地が多く出ているので、ぜひそれを選びたい。また、ネイビー無地でも表情感豊かな生地ならば着こなしも単調にならない。スマートな印象を目指すならば、ピンストライプ、ペンシルストライプなどシャープな柄がそれをかなえてくれる。

 清潔感が際立つネイビースーツはシルエットも重要だ。昔ながらのボックスシルエットや細身でシェイプが強い若者向けのシルエットは知性で見劣りする。きちんと時代感が計算されたオーセンティックなシルエットの一着ならばジャストサイズで着てもむしろ動きやすく、着用感は見た目にもエリートにふさわしくスタイリッシュ。

 上質な生地を使って品格あるシルエットで仕立てられたネイビースーツは、ビジネスマンを格段に洗練されたエリートに昇華してくれることは間違いないのだ。