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社長!事件です イザという時に思考停止しないための「危機管理」鉄則集

老舗企業に迫る外資系ファンド乗っ取りの魔手
絶対的劣勢を挽回した起死回生の一手とは?

小川真人 [ACEコンサルティング株式会社 代表],白井邦芳 [ACEコンサルティング株式会社 エグゼクティブ・アドバイザー]
【第15回】 2010年12月1日
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外資系ファンドの来訪

 岐阜の山深い街を、その地におよそ似つかわしくない端正な顔立ちの男達が歩いていた。漆黒のスーツに身を包み、一分の隙も見せずに注意深く辺りを探っている。彼らは、ちょっと前なら「ハゲタカ」と呼ばれた外資系ファンドの面々である。

 彼らがこの地に来た理由はただ一つ、上場企業X社の創業家一族が居を構えていたからだ。創業者一族は高齢者ばかりでいずれも80歳を超えているが、眼光鋭く、発する言葉はX社の経営陣に重くのしかかる。

 今年行われた株主総会で、創業家一族が全ての取締役、執行役員、監査役から外れ、一族は大株主ではあったものの、企業に対する直接的な支配権は失っていた。その後、傍目には岐阜の山奥で隠遁生活を送っているかのように見えるが、それは決して彼らの本意ではなかった。

 彼らの唯一の希望は、創業家一族最後の生き残りであるSが、現在、経営企画部の部長を務めていることだった。そして、創業家一族の復活とX社の支配権の奪取こそ、彼らの描くシナリオであった。

 高い木立を抜けてしばらく歩くと、大きな門が現れた。重い扉をゆっくり開けた男たちの眼前には、いつからそこへ立っていたのか、3人の老人達が待ち受けていた。

創業家一族の苦悩と葛藤

 株主総会以降、新経営陣となった取締役達の一番の苦悩は、創業家対策であった。上場企業であるX社は、以前より金融商品取引所や幹事証券会社を通じて、創業家一族による歪んだ経営支配からいち早く脱却し、透明性の高いコーポレートガバナンス(企業統治)を図るよう繰り返し勧められていた。

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小川真人(おがわまひと) [ACEコンサルティング株式会社 代表]

公認会計士、公認不正検査士、日本法科学技術学会正会員。慶応義塾大学商学部卒業後、1986年、ピートマーウィックミッチェル会計士事務所(現在のKPMGあずさ監査法人)に入所し、会計監査・リスクマネージメント業務に幅広く従事。2003年より2008年まで、(株)KPMG FASにて日本における不正調査サービスの責任者(パートナー)として、不正会計調査、経営者不正調査、従業員不正調査、個人情報流出事件調査など、多様な不正調査やリスクマネージメント業務を提供。2008年4月より、ACEコンサルティングを設立して独立。

白井邦芳(しらい くによし) [ACEコンサルティング株式会社 エグゼクティブ・アドバイザー]

AIU保険会社及びAIGグループ在籍時に数度の米国研修・滞在を経て、企業の危機・不祥事・再生に関するコンサルティングに多数関わる。2350事例にのぼる着手案件数は業界屈指。2009年から現職。リスクマネジメント協会評議員、日本法科学技術学会正会員、経営戦略研究所外部専門委員、著書に「ケーススタディ 企業の危機管理コンサルティング」(中央経済社)等がある。


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海外で発生するテロや暴動そして天災、果ては脅迫から社内の権力闘争の暴露まで。現代の企業はまさにリスク取り囲まれて活動している。ことは生命にかかわることが多いにもかかわらず、依然として、日本企業はこの種のリスクには鈍感。イザというときに、じたばたしないためには、準備こそがすべて。具体的な事例を基に危機管理の鉄則を公開する。

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