「より高い数字」を追い求めていても勝ち目はない

御立 「皆が努力を積み重ねて頑張れば世の中が良くなって経済も成長する」――このモデルを信じられる人がいまの日本にどれだけいるんだろうか、と。

99.9%の大企業のホワイトカラーは仕事が遅い

 そうすると、「努力って何だろう」「働き方って何だろう」「自分の満足感って何だろう」となるのは当然で、多くの人がそのモデルをいま探しているところじゃないかと思うんです。

 そして『いい努力』を読んで思ったんですけど、もっといい動き方を模索して、もっと新しいモデルを広げることを楽しむ、ということを大マジメにやったほうがいいんじゃないかと思ったんですよね。それが日本という、急にキャッチアップしたものの高齢化は世界一になって20年も成長しない社会にいる人間の責務みたいな気がしているんです。ちょっと大げさな話ですけど。

99.9%の大企業のホワイトカラーは仕事が遅い

山梨 より高い数字、量的な成長だけを目指したところで、日本に勝ち目はないと思うんですよね。むしろここから先は、新しい働き方だけではなくて、新しい楽しみ方、新しい生き方とか、まったく違うことを目指すべきじゃないかと。

御立 ところが人も企業も、成長が落ち着いてきたときに、これまでの成功パターンと同じことをやろうとするものなんですよね。

山梨 僕は25年もマッキンゼーにいたもんだから、途中で多くの後輩が巣立っていくのを見てきました。すると本当に優秀な人というのは、ちょっと時代より早めに、次にくる分野に飛び込んでいくんです。ここ10年ぐらいは、それがソーシャルビジネスということになると思います。