業界売上高は軒並み2ケタ増
米国クリスマス商戦の活況

 何故、年の瀬を迎えて日経平均株価が1万円台を回復し、長期金利が1%台に上昇し、ドル相場が安定し始めたのか。やはり、米景気が強いと考えるのが最も素直である。

 確かに、世界景気の不安要因を挙げれば枚挙にいとまがない。アジアの新興国では金融引き締めと資本規制が株価の上値を抑え、欧州では財政不安が再燃している。また、日米で共に「ねじれ国会」が政策の行方を不可解にしている。

年の瀬に訪れた「意外な景気回復」と今後のリスク要因――島本幸治・BNPパリバ証券東京支店 投資調査本部長/チーフストラテジスト

 それでも、米国の重要な景気指標である輸送株は、リーマンショック前の水準を回復している(グラフ1)。クリスマス商戦に関しては、感謝祭連休明けのサイバーマンデーの業界売上高は軒並み2ケタ増の好調が報じられている。

 (1)バランスシート調整の進展、(2)株価上昇による資産効果、(3)ブッシュ減税の延長などが、家計部門の追い風として働いている。

一変した金融市場の雰囲気
慎重な企業マインドが奏功

年の瀬に訪れた「意外な景気回復」と今後のリスク要因――島本幸治・BNPパリバ証券東京支店 投資調査本部長/チーフストラテジスト

 意外な好況は、中国も同様である(グラフ2)。米国クリスマス商戦の後には、中国の春節(2011年は2月3日)商戦が控えている。今年9月に尖閣諸島沖で漁船衝突事件が勃発したこともあり、日本で注目されなかったが、10月の国慶節商戦は好調な結果となり、その後の各種商品市況に影響を及ぼしている。