経営×ソーシャル
ソーシャルのいま
【第8回】 2016年10月11日
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武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役]

「消費者の声」が最も効く広告だった!
コミュニティの経済的効果

消費者コミュニティが活性すると、企業には具体的にどのようなメリットがあるのだろうか。活性に成功した消費者コミュニティはどれほどの経済的効果をもたらすのだろうか。前回に続き、筆者が代表を務めるクオン株式会社が開催した「QON DAY 2016」で発表された導入企業の最新事例を参考にしながら、ソーシャルメディア・マーケティングの最前線の具体を見ていこう。

コミュニティの活性が、
マネタイズの土台をつくる

消費者コミュニティの活性は、企業にどんなメリットをもたらすのでしょうか

前回のコラムでは、「消費者コミュニティはマネタイズするのか?」という問いに対するひとつの回答を示すために、まずはその前提となるコミュニティの活性についてお話ししました。今回は回答編として、ヒューマンアカデミー株式会社、森永乳業株式会社の消費者コミュニティの最新事例を取り上げながら、活性したコミュニティが企業に何をもたらすのかについて解説いたします。消費者コミュニティがどのように経済効果との両立を実現していくのか、その一端をお伝えできればと思います。

 はじめに、前回の内容を簡単に振り返っておきたいと思います。前回はまず、コミュニティを活用するうえで必要不可欠な「活性」について、株式会社クレハの事例を交えて解説しました。コミュニティをオープンしてから1年間、活性に集中することで、投稿や拍手といった消費者の活動履歴や生声などのデータを充分に蓄積していきます。その後、コミュニティに集まった膨大な量の消費者の活動データを科学的に分析する「コミュニティ・データマイニング(CDM)」を実施し、ファン化のメカニズムを解明します。

 加えて、CDMによって、コミュニティに蓄積された数十万を超える生声「VOC(Voice Of Customer)」の中から、コミュニティ参加者が特に影響を受けたVOCを特定します。この特定されたVOCは、購買を促す事実をもった発言で、消費者の記憶やマーケッターの勘に頼らず、科学的なアプローチを経て抽出された影響力のある生声です。私たちはこれを「VOI(Voice Of Influence)」と呼んでいます。

消費者の発した影響力のある声は、
企業に何をもたらすのか

 では、VOIを具体的に活用した事例を見ていきましょう。

 ヒューマンアカデミー株式会社「たのまなコミュニティ」は、同社が提供する通信講座のコミュニティで、講座毎に部屋(サークル)が設けられています。CDMの結果、クリスタルデコレーション講座サークルの「娘のダンス仲間のDJやってる女の子からヘッドフォンデコレーションの依頼がありました。大変だったけど楽しくデコレーション出来ましたよ!」という40代女性みぃさんの写真付きの投稿がVOIとして発掘されました。この投稿に「拍手」をしたコミュニティ参加者は21人いて、そのうち、新規受講もしくは再受講につながった方が6人いたことが分かったのです。

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武田 隆(たけだ・たかし) [クオン株式会社 代表取締役]

日本大学芸術学部にてメディア美学者武邑光裕氏に師事。1996年、学生ベンチャーとして起業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。花王、カゴメ、ベネッセなど業界トップの会社から評価を得て、累計300社のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア (矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリン支局、大阪支局開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、第6刷のロングセラーに。JFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」の司会進行役を務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


ソーシャルのいま

ソーシャルメディア・マーケティングの第一人者である筆者が『ソーシャルメディア進化論』を出版してから早4年。ソーシャルメディアを取り巻く状況は大きく変化した。一体何が変わり、何が変わっていないのか。当時の状況を振り返りつつ、現在の状況について考察を深めていく。

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