「グローバル化」で正社員も外国人との競争に! なのに、新入社員の「内向き化」が進んでる!? グローバル化が進む中、日本人の年収や雇用はどうなっていくのだろうか? 4つのポイントでみてみよう!

(1)労働人口が最も多い製造業の雇用が減少中!

 かつて「モノづくり」という言葉が盛んに用いられた時期があったように、多くの日本人は我が国の製造業の実力に関して強い自信を抱いている。実際、これまで日本経済を牽引してきたのは製造業の輸出で、この分野に従事する人の数は労働人口全体においても最も高いウエートを占めてきた。

 ところが、100年に1度の経済危機が日本の製造業を直撃! トヨタ自動車の赤字転落が象徴するように、輸出の低迷で業績が著しく悪化した。大半の製造業は死にものぐるいでコスト削減に取り組んだ。

 当然、製造業にかかわるコストの中で最も負担が重いのは人件費だ。製造業において大掛かりな雇用調整が進められ、リーマンショック以降の3年間で86万人もの従業員が職場を追われた。

 その後、景気回復に伴って企業業績も上向きに転じ、前出の第一生命経済研究所エコノミスト・岩田陽之助さんも、「雇用・所得を取り巻く環境は最悪期を脱した」と見ている。しかしながら、岩田さんは次のようにも言及する。
「依然、企業は人件費削減に迫られており、非正規雇用中心の採用にとどめる動きが今後も続く」

(2)製造業は雇用&生産拠点を海外へ移している!

 日本人の雇用を脅かしているのは不景気だけにあらず。まるで、イス取りゲームでどんどんイスが減らされていくような構造変化が生じている。岩田さんは指摘する。

 「製造業の生産ラインが労働コストの安い海外へと移管される動きは、これから先も続いていく。また、幹部候補の育成や研究開発などの機能は国内にとどまるが、こうした正規雇用者についても今後は、外国人労働者との競争にさらされることになるだろう。たとえば、某大手電機メーカーは海外拠点のマネジメントを任せる目的で、正社員採用の大半を外国人とする方針を打ち出している」

 かつて国内にあった職場が海外へと移ったばかりか、外国人労働者がそこで働き始める。そして、国内にとどまる日本人労働者はすっかり小さくなったパイを奪い合っているのだ。イスを取り損ねた人は、途方に暮れることになる。