設立から70年近く、明和産業は独立独歩の商社としてユニークな存在感を示してきた。化学品、石油製品、機能材料、合成樹脂・建材といった事業領域を得意分野にするとともに、中国や東欧などとの深いつながりも継続。同社の強みを生かした成長戦略に注目したい。

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大友伸彦 代表取締役社長

 今春、明和産業の体制が大きく変わった。事業領域別の組織を、従来の3本部から4本部に拡充したのだ。化学品、石油製品、機能材料、合成樹脂・建材と、各事業領域の特性や最新の需給動向に合わせた改編で、各本部間の連携も容易になった。

 さらに、6月には大友伸彦新社長が就任。3カ年の中期経営計画の最終年度を、次期の飛躍を期す準備年とする考えだ。

機能材料分野が成長
豊富な実績が信頼に

「各事業領域に明確な得意分野を有していることが、当社の強みです」と、大友社長は語る。

 例えば機能材料では、レアアースの中でもモーター用磁石に使用されるネオジム、ディスプロシウムが伸びている。大手化学メーカーが海外に生産拠点を新設するのに合わせ、供給体制を整えた。電気自動車(EV)やモバイル機器などに使用されるリチウムイオン二次電池材料は、三菱化学との現地合弁拠点を含めた対中国ビジネスで伸びを見せる。

「プラスチック原料に添加して使用される難燃剤も、ここ4~5年でウエートが高まりました」。建材や自動車部品、白物家電の生産に不可欠で、国内外の需要の伸びが大きいという。難燃剤の選択や配合割合などは、用途に応じて異なってくる。同社には難燃剤に関する豊富な実績があるだけに、取引先からの信頼も大きい。

 石油製品の主力の一つは、潤滑油だ。主要な市場は中国である。日系メーカーの中国現地工場が使用する工業用潤滑油の取り扱いなどで、圧倒的な存在感を誇る。

「お客さまのご要望に応じた提案型、およびソリューション型セールスを通じて評価を頂いています」と、大友社長。