神奈川県川崎市の老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で、入所の老人が相次いで不審な転落死を遂げ、それが元職員・今井隼人容疑者による事件だったとわかったのは昨年のことだった。

 事件発覚の経緯は、今井容疑者が入所者の財布を盗んだとして、窃盗罪で逮捕されたのがきっかけだった(窃盗事件の発覚で今井容疑者は施設を懲戒解雇)。彼が盗んだのは現金十一万円と指輪など四点(六十八万円相当)だが、その一方で三人の入所者を四階のベランダから投げ落とすという悪行を繰り返していた。被害に遭った入所者の年齢は、八七歳、八六歳、九六歳である。

 転落死のあった夜の当直はいずれも今井容疑者で、また、“事故”の第一発見者も今井容疑者という自作自演だった。事件発覚前、今井容疑者は雑誌社の取材にこう応えていた。

「家族が亡くなったのがきっかけでお見送りをやりたいと思い、介護業界を選んだ。やりがいは感謝の言葉をかけてもらえること」

 そんな男が、言うことをきかない、介護が面倒という理由で、三人の高齢者を転落死させた。

 神奈川県相模原市の障害者施設では今年七月二六日、入所者十九人が惨殺されるという戦後最大級の大量殺傷事件が発生した。容疑者は植松聖容疑者。植松容疑者もまた、今年二月まで施設に勤務する介護職員だった。

 父親が教師だったこともあり、植松容疑者も小学校の教員を目指していたが採用にいたらず、自動販売機の設置業者、デリヘルの運転手など職を転々とした後に働き始めたのが事件を起こした施設だったという。二〇一二年のことだ。

 働き始めた当初こそ、周囲には好印象を与える青年だったらしい。人づきあいもよかったが、すでに背中には入れ墨を施し、やがて脱法ハーブや大麻などの薬物を常用するにつれ、不可解な行動を起こすようになる。家庭内の諍いも増え、それが原因なのか両親が家を出て、施設にほど近い実家には植松容疑者ひとりで暮らしていた。

 今年二月一四日、植松容疑者は衆院議長宅を訪れ、警備の警察官に異常極まりない手紙を手渡している。

 〈(前略)私は障害者四七〇名を抹殺することができます(中略)保護者の疲れきった表情、施設で働いている職員の生気の欠けた瞳、居ても立ってもいられず(中略)障害者は人間としてではなく、動物として生活を過しております(後略)〉