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インタビュー:トランプ米大統領は「メーンリスク」=JBIC総裁

2016年10月7日

[東京 7日 ロイター] - 国際協力銀行(JBIC)の近藤章総裁は7日、6月の就任後初めてロイターのインタビューに応じ、民間金融機関での経験を活かし、採算を重視しつつ日本企業の海外展開を支援していきたいとの抱負を語った。

世界経済を展望する上で、米大統領選での共和党トランプ候補の就任による影響をマーケットは懸念しているが、それは「もはやテールリスクでなくメーンリスク」と指摘し、国際金融市場の激変に備える必要性を強調した。

近藤総裁は住友銀行(現三井住友銀行)出身。米ゴールドマン・サックス(GS)への出資などを手がけたことで知られる。その後ソニーや米AIG日本法人などを経て、最近4年間はJBICの社外取締役を務めていた。政府系金融機関であるJBICの総裁に民間人が就任するのは、トヨタ自動車出身の奥田碩氏以来2人目。

<米大統領選、どちらが勝利でも市場は動揺>

米大統領選については、特定の候補者を支持していない、と前置きしたうえで、「米国ではネット媒体やSNSの普及で新聞・テレビの影響力が低下しており、テレビ討論などの影響力は小さくなった」、「英国の欧州連合離脱も事前予想は外れた」ことなどから、トランプ大統領誕生は十分ありうるとの見方を示した。

同時に、トランプ候補の主張を眺めると、「利上げと減税に踏み切るなら、円安・株高要因で、日本にはプラスな面もある」と指摘した。

もっとも「金融市場の関係者は、クリントン候補はトランプ候補のように強行にはいかないとみている。しかし金融市場はトランプ氏の大統領就任を織り込んでおらず、米大統領選はどちらの候補が勝っても、市場は動揺するだろう」とみる。「JBICの起債なども、適切なタイミングで実施するよう指示している」という。

<民間の取れないリスクを取っていく>

JBICの事業については「政策金融機関として、非常に長期の融資など、民間の取れないリスクを取って行きたい」が、同時に「民間金融機関の裏に預金者と株主がいるように、我々は財務省と納税者のお金を使っている。ODA(政府開発支援)ではないので、バンカブル(利益が出る、信頼できる)かどうか、現場視察等も通じてものさしを持ち、しっかり見極めていきたい」と強調した。

2000年代にJBICは、資源価格高騰を背景とした国内総合商社やエネルギー企業による「日の丸権益」の獲得を積極的に支援してきた。現在は、世界各地のプロジェクトの現状把握に努めており、先日は住友商事などが手がけるマダガスカルのニッケルプロジェクトを視察したという。

<資源市場には慎重な見方>

資源価格は足元、原油や石炭が上昇に転じ、資源バブル崩壊に底打ち感も見られるが

 「原油価格が反発すれば、米シェール・ガス・オイルのリグ数は再度増加する。世界原油市場の需給から判断して、原油価格の先行きは慎重に見ざるを得ない」と指摘する。

資源案件も、慎重な市況見通しで採算管理を進める方針。資源価格の下落で「総合商社などが減損すれば、我々の融資にも影響があるため注視が必要となる」という。

JBICが支援を進める効率性の高い石炭火力発電所の海外輸出について、地球温暖化の観点から海外では批判も出ているが、「石炭が産出するような途上国では、ベースロードとして石炭火力が必要」と指摘。その上で、JBICとしてはあくまで温暖化ガスの排出基準を満たした最新鋭の石炭火力について、輸出支援を継続する方針を強調した。

近藤氏は教育大付属駒場(現・筑波大付属駒場)高校で黒田東彦日銀総裁や自民党の細田博之総務会長と同級生。黒田氏の金融政策運営について、「成果は長い目でみるべきだ」と援護射撃。9月に導入した長期金利ターゲットも「批判はあるが、デフレマインドの払拭には、マイナス金利よりは効果がある」と期待した。

(竹本能文 編集:田中志保)

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