「人が辞めない会社」が<br />これから流行る理由神田昌典(Masanori Kanda)
経営コンサルタント・作家。株式会社ALMACREATIONS代表取締役。日本最大級の読書会「リード・フォー・アクション」主宰。上智大学外国語学部卒。ニューヨーク大学経済学修士、ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営学修士。コンサルティング業界を革新した顧客獲得実践会を創設(現在「次世代ビジネス実践会」)。のべ2万人の経営者・起業家を指導する最大規模の経営者組織に発展。わかりやすい切り口、語りかける文体で、従来のビジネス書の読者層を拡大。「ビフォー神田昌典」「アフター神田昌典」と言われることも。『GQ JAPAN』(2007年11月号)では、「日本のトップマーケター」に選出。2012年、アマゾン年間ビジネス書売上ランキング第1位。著書に、『稼ぐ言葉の法則』『あなたの会社が90日で儲かる!』『非常識な成功法則【新装版】』『口コミ伝染病』『60分間・企業ダントツ化プロジェクト』『全脳思考』『ストーリー思考』『成功者の告白』『2022――これから10年、活躍できる人の条件』『不変のマーケティング』『禁断のセールスコピーライティング』、監訳書に、『ザ・コピーライティング』『伝説のコピーライティング実践バイブル』『ザ・マーケティング【基本篇】』『ザ・マーケティング【実践篇】』、監修・解説書に『最強のコピーライティングバイブル』などベスト&ロングセラー多数

神田:私が興味を覚えるのは、「言葉」の影響力についてです。
 企業内では、さまざまな言葉が発せられていますが、どのような言葉を、どのように投げかけると相手が活性化するのか、あるいは、自分自身がどのような言葉を使うようになると結果が残せるのか、そういった「人を動かす言葉のメカニズム」に興味があります。

「お客様が真実を語る瞬間」とは?

小山:言葉の力で売上をつくったり、さまざまな現象からトレンドを予測するのが神田さんのマーケティングに比べると、私のマーケティングはとても簡単です。
 たとえば、出版に関してなら、ターゲットを「中小企業の社長」に決め込んでいます。
 新刊の内容を考えるときは、コンサルティング先の社長から「質問されたこと」しか書きません。
 私のお客様は、中小企業の社長です。
 だとすれば、私が書きたい内容ではなく、中小企業の社長が知りたいことを書いたほうが売れます。
 出版社の編集者からは、「若い人向けの本を出してほしい」という依頼もいただくのですが、すべてお断りしています。
 なぜなら、「不得意なことはやらない」というのが私の考え方だからです。
 ダスキン事業にしても、経営サポート事業にしても、マーケティングの基本は同じです。「お客様が真実を語る瞬間」を大切にすることです。

神田:改めてお話をうかがうと、私と小山社長は見ている方向は同じでも、スタンスの違いを感じます。
 どちらかと言えば、私は不器用ですね。対象がいつも同じだと、自分が盛り上がらないところがあります。
「自分でもわからない領域」や「未知なる領域」など、まだ定まっていないものにチャレンジをするのが好きなんです。
 そういった意味では、マーケティングを扱っていながら、マーケティングができていないのかもしれません(笑)。
 新しい技術とか、新しいサービスが登場すると、「これでまた世の中が変わるのか」と思えて、すごく楽しいのです。
 新しい技術やサービスをクライアントと一緒に実践してみる。そして、時代の変化に合わせてビジネスをつくり、ビジネスによって人の心を癒していくことに興味があります。

小山:私と神田さんは、同じコンサルタントでも、アプローチの仕方には違いがあって、役割分担ができているのでしょう。
 でも、「時代の変化に合わせていく会社を変えていく」というスタンスは、同じだと思います。
 私は、1993年に日本で最初に開かれたインターネットセミナーに参加しました。
「さっぱり話が理解できない」にもかかわらず、社内のデジタル化に踏み切ったのは、時代の変化に対応するためです。
「インターネット」を知ったとき、私は「どうやってインターネットを使えば商品を売ることができるのか」を考えた。
 そして、「オレの力では、無理だ」という結論に達し、「その代わり、インフラとしてインターネットを使い、バックヤードをIT化する」ことした。
 その結果としてわが社は、90年代半ば以降の急速なIT化に乗り遅れることなく、ライバルを圧倒できたのです。