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吉田恒のデータが語る為替の法則

米債バブル破裂で米ドルは90~95円へ!?
12月14日FOMCが最初の大きな岐路に!

吉田 恒
【第110回】 2010年12月15日
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 11月上旬のFOMC(米連邦公開市場委員会)の後から米国の金利急上昇が始まり、それを追いかける形で米ドル高が広がってきました(「なぜ『雇用統計ショック』でも株高なのか?ドル高の流れは変わらず再加速もあり得る」を参照)。

 米ドル高が続くかどうか、そのカギを握りそうな米国の金利上昇ですが、価格は「上がり過ぎ」、利回りは「下がり過ぎ」といった「米債バブル」破裂の可能性はないでしょうか?

量的緩和決定後の金利は上昇するものなのか!?

 まずは「資料1」をご覧ください。この中で、赤の折れ線が前回、11月上旬に行われたFOMC終了後の米国の長期金利(10年もの国債の金利)の推移です(「国債買い入れ決定と米金利上昇は矛盾?しかし、前回も動きは同じだった!」を参照)。

 前回のFOMCでは「FRB(米連邦準備制度理事会)が米国の長期国債などを購入する」といった量的緩和が決められたのですが、その後、米長期国債の価格はむしろ下落し、利回りは上昇したのです。

資料1

 FOMCで量的緩和という追加の金融緩和が決められたにもかかわらず、金利は上昇し、このグラフを見てわかるように、ここに来てむしろ急加速し始めています。

 これについては、12月7日に米オバマ政権がいわゆる「ブッシュ減税」の延長に合意したことで、景気腰折れ懸念が後退し、FRBがさらなる追加の国債購入拡大に動く可能性が後退した一方で、財政赤字拡大懸念が浮上したためとの説明が一般的なようです。

 そこで、「資料1」の黒の折れ線をもう1度ご覧ください。これは、昨年3月のFOMCで最初の量的緩和策が決められた後の米国の長期金利の推移、すなわち、第1次量的緩和後の米長期金利の動向です。

 これを見ると、「ブッシュ減税」の延長のようなことがなくても、米国の金利は急上昇していたのです。

 つまり、「ブッシュ減税」の延長があろうがなかろうが、このように、量的緩和決定後の金利は上昇するものだということかもしれません。

 そして、第1次量的緩和後の金利上昇局面においては、それがさらに続く1つの岐路になったのが、このFOMCというタイミングだったのです。

12月14日のFOMCが大きな岐路になりそう

 じつは「資料1」の黒の折れ線、つまり、2009年3月のFOMC終了後に2.5%から始まった米国の長期金利上昇は、3%の大台突破を前に、いったんは足踏みとなりました。

 しかし、約40日後に行われた次のFOMCを受けて、上昇を再開し、米国の長期金利はついに3%の大台を完全に上抜けて、一気に3.3%へと向かったのです。

 今回の場合も、追加緩和が決まった11月上旬のFOMCから約40日後に行われるのが、12月14日のFOMCなのです。

 今回は昨年よりも少し早く、すでにFOMC前から米国の長期金利は3%を完全に上抜けています。

 その意味では、ちょっと金利上昇が早過ぎる感じはしますが、それにしても、この金利上昇がこの先もさらに続くかを考える上で、日本時間今夜のFOMCのタイミングは最初の大きな岐路になることでしょう。

短期的にはかなりの「上がり過ぎ」になっている可能性

 ところで、前述したように、目先で米国の金利上昇がちょっと早過ぎる感じがします。「資料2」をご覧ください。

資料2

 たとえば、米国の長期金利の指標銘柄である10年もの米国債の利回りは、90日移動平均線からのカイ離率がプラス20%まで拡大してきたことがわかるでしょう。

 この「資料2」からわかることは…

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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