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外資系リーダーが拓くビジネスの未来
【第2回】 2016年10月18日
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GAISHIKEI LEADERS/ISSコンサルティング監修

時流を読み将来を考えるうえで不可欠な
「ゼロベース発想」と「ユーザー視点」

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真のグローバル経営を経験してきたビジネス・リーダーが、日本社会・日本企業の課題に対し 『和魂洋才』の新たな視点から解決策を提案し、日本社会に変革を起こしていくことをゴールとして活動する「GAISHIKEI LEADERS」。そのメンバーが、経営のグローバル化と日本のユニークな強みを調和させた新しい「グローバル経営論」を解説するセミナー(共催/司 会:ISSコンサルティング)の内容をダイジェストでお届けします。

第1回セミナーのテーマは「グローバル企業における共創(M&A、インテグレーション)とは?」。セミナー冒頭で、レノボ・ジャパンとNECパーソナルコンピュータの社長を兼務する留目真伸氏が「いま進みつつある第4次産業革命のカギとは何か?」を踏まえ、レノボの歩みと現状を解説された様子は前回お届けしました。今回はその解説後にセミナー参加者が6チームに分かれて検討した“レノボが次に実施すべきM&A案”について、留目社長ほかGAISHIKEI LEADERSメンバーからの寸評とともにをお伝えします。

 このセミナーで参加者に課せられたお題は次に2つのいずれかでした。ITデジタル業界に明るくない場合は、他業界・企業で起こるべきM&A案を検討する選択もアリというわけです。

ケーススタディのお題
I.レノボの次のM&A(目的、統合レベル、気を付けるべきポイントと対処方法)
II.他業界で次に起こるべきM&A(上同)

レノボが次に買うべきは住宅事業か、医療事業か?

いよいよM&A戦略を考えるグループディスカッションへ。写真:清野正徳

 さて、セミナー参加者による6つのグループがどんなM&A案を考えたのか、各グループの発表内容と、それに対する会場からの質問(以下、Q.)、さらにGAISHIKEI LEADERSメンバーによる寸評をダイジェストでお伝えします。留目社長のほかに寸評をいただいたGAISHIKEI LEADERSメンバーは、日本マクドナルド上級執行役員マーケティング本部長の足立光氏、プライス・ウォーターズ・クーパーズコンサルティング合同会社執行役員の松永エリック匡史氏、モルソン・クアーズ・ジャパン社長の矢野健一氏です。読者のみなさんもご自身のアイデアを練りつつ、会場で出たM&A案について読み進めてみてください!

まずは、I.レノボの次のM&A(目的、統合レベル、気を付けるべきポイントと対処方法)を検討した4つのグループの発表内容と、それに対する質疑からです。

グループ1のアイデア
レノボが今のテクノロジーを生かしてブランディングを高めるため住宅事業を買って完全統合してはどうでしょうか。今まで人々が経験したことのないような空間を実現したモデルルームで、パーソナルコンピューティングを具現化してみせるのです。バーチャルリアリティでオフィスとして使える部屋もあったり。住宅向けの製品導入は、既存のビジネスにもプラスになります。ただ悩ましいのは立地です。テクノロジー面でいえば都心がよいでしょうが、会社や病院に通わなくてよいメリットを強調するなら地方のほうがニーズも大きいと思われ、この点は正しいマーケティングをやらないと失敗リスクがあります
日本マクドナルド上級執行役員マーケティング本部長の足立光氏

足立:住宅でなくオフィスはダメですか?家だと引きこもりになっちゃうし(笑)貸しオフィスのほうが現実的では?

グループ1:オフィス案も出ましたが、家にいながらにして仕事も教育も医療も受けられるというほうが、パーソナルコンピューティングの恩恵が大きいと思いました。

矢野:僕が担当したグループなので、あまりほめるとまずいけど、非常に面白いですよね。

モルソン・クアーズ・ジャパン社長の矢野健一氏

留目:アップルが自動車を手がけるという話がありますけど、そのもっと発展形ともいえるアイデアですよね。貸しオフィスより住宅のほうが多くの要素が必要なので一足飛びには難しいかもしれませんが、、、。

矢野:留目社長、夢をもちましょう(笑)!

留目:住宅の将来性は非常に大きいと思うので、今すぐというのは難しいかもしれませんが、すごく面白いアイデアだとは思います(笑)

グループ2のアイデア
レノボが解決すべき社会問題として、逼迫する医療費をいかに低減していけるのかについて考えました。電子カルテやお薬手帳など個人の医療データはまだまだ統合されてきていません。予防医療に生かすうえでも、医療費の効率化を考えるうえでも、これらデータの一元化が必要だと考えました。そこで、医療分野におけるパーソナルコンピューティングの実現を目標とした、1人の人間の空間的時間的医療データの統合をめざしたM&Aを検討しました。具体的な対象企業としてはGEメディカルを買収してはどうでしょうか。GEグループはインダストリアル・インターネットで先行しており、プレディックスというプラットフォームを開発してきています。さらにGEは事業ポートフォリオを常に見直しており、最近も金融分野や家電分野を売却しました。ですから医療機器分野も検討してみないかと持ち掛けてはどうでしょうか

Q. 誰かがやらなければならないテーマだと思いますが、なぜレノボがやらなければならないのでしょうか。

グループ2:レノボの目指すパーソナルコンピューティングの実現に資するかなと考えました。パーソナルコンピューティングというのを、端末間の統合ではなく、1人の人がもつさまざまなデータを統合するということに読み替えて、それがレノボの目指すミッションにつながるのではないかと考えました。

留目:統合のレベルはどう考えましたか。完全統合がいいのか、別会社がいいのか、いろいろ選択肢はありますが。

グループ2:具体的なところまで議論が詰まらなかったのですが、医師や薬局などへのブランド力からいってGEのブランドは残しつつ、開発は連携したほうがいいので物理的にオフィスは統合するといった策が考えられるかと思います。事業を進めていくなかで、レノボが医療データをとりまとめて人々の健康に貢献していくことが知れ渡っていった暁にはレノボブランドでやったほうがいいのではないかという意見が出ましたが、最後のところまで議論が煮詰まりませんでした。

留目:パーソナルコンピューティングが人の生活の質をどのように向上させられるかという点に着目したのは面白い。

Q. データ分析会社を買ったほうが、このマーケットに入りやすいのではないでしょうか。あるいは、NECと連携するという手もあるのではないかと…

グループ2:仰る方策も検討したのですが、病院や薬局とのネットワークをもつGEメディカルのほうがふさわしいのかなと考えました。NECさんが現状どこまで病院ネットワークをおもちなのか、そのあたりと比較した検討も必要かと思います。

留目:非常に面白い議論ですが、データ分析の会社はすでにたくさんあるんですよね。今後やりたい人たちも沢山いるし、これからも増えていくと思う。ただ、意外とそういう人たちがビジネスとしてまだ回せていない。

プライス・ウォーターズ・クーパーズコンサルティング合同会社執行役員の松永エリック匡史氏

松永:レセプトの問題は、分析面より情報公開の問題ではないでしょうか。医療関係者が情報を公開しないから現状のようになっているわけで、どうやってどんなふうに情報を公開するのかというセキュリティを含めた仕組みの問題だと思います。それはさておき、このアイデアはパーソナルに注目して入っていくところが面白いと思いました。どうしてもインフラというとデータベースから入っていく発想が強くなりやすいですが、実際はユーザーがもっているパーソナルなデバイスからインフラを作れるんだ、という発想は新しいと思うし、僕は好きですね、感想ですけど(笑)。

グループ3のアイデア
レノボがハード面でまったく新しい何かが提供できたら面白いのではないかと検討しました。PCに関していえば、エンタープライズ(法人)向けで非常にシェアが高い一方、コンシューマー(一般消費者)向けについてはデザイン性の弱さが指摘されました。さらに、モバイルではモトローラの買収によってグローバルなシェアはかなり高い反面、日本国内のマーケットではまだ開拓余地があるということで、国内のエンタープライズ向けの技術やブランド力をもつ企業、具体的にいえばブラックベリーみたいな企業を買ってはどうかと考えています。ちょっと議論が広がって、詳細を詰めるまではいかなかったのですが。以上です

足立:ブラックベリーはほとんど見ることがなくなりましたが、いま本当に買う価値があるでしょうか。

松永:皆さんに理解していただきたいのは、ブラックベリーは端末だけで儲かっているのではなく、独自にサーバを持ち企業内のメールサーバと連携して携帯で会社のメールが読めるのが革新的だったわけです。今の時代当たり前の事が当時は出来なかったんですね。その点からも、今の時代にBlackBerryにどんな価値があるのかをもっと分析していただきたい。

留目:あと、エンタープライズ向けが儲かるというのはよく言われることですが、実はすごい誤解ですよね。企業は合理的に行動することを求められているので最後は価格ですから。コンシューマ向けはロイヤルカスタマーがつくと価格がとれるので、ファンがつくようなブランド力が築ければむしろすごく儲かります。

グループ4のアイデア
レノボの競争力強化のうえで、PCを使わないウェアラブルデバイス、あるいはウェアレスデバイスの機能を強化するために、特にインプット/アウトプットのうち一番肝になっていくインプット部分のセンシング機能、音声ですとか温度、色、あるいは匂いに関するデバイス技術をもつ企業を買収すればいいのではないか、というのが提案です。ただし、新しいデバイスの開発には少し時間がかかりますので、比較的ロングスパンで見ていく必要があるのではないか、という点で注意は必要です。また、買収対象企業に技術的な強みを維持してもらううえで同社の強みが、人にあるのか、プロセスにあるのか、といった点をある程度詳らかにしておく必要があると思われます

Q. 買収先はある程度大企業をイメージされているのですか。

グループ4:センシングは何をセンスするのかというところで、買収対象は変わってきます。たとえば音声はすでにグーグルが中国語や英語などをやっているから、今から参入しても遅い。じゃあ誰もまだやっていないところと考えたとき、温度と色が浮かびまして、温度で大手企業といえば例えばテルモとか。あるいは色だったらこれも買収というのはあり得ないでしょうが、富士フイルムさんとかキヤノンさんといった大企業の力を借りる手はあるのかなと考えていました。ただ、買収するのであれば、もっと企業規模が小さくてコントロールを効かせられるような企業が理想的です。

Q. インプットの会社を買うのは面白いアイデアですね。ただ、誰に何を売る状態で儲かることになるでしょうか?

グループ4:ウェアラブルはもう遅いので、ウェアレスをイメージして、端末がなくても個人のことを常にウォッチしていてくれるというソリューションをBtoCで売っていくイメージです。個人をサポートして月料金をもらうといったアイデアもありました。

矢野:すでに留目さんも考えているかもと思えるような、非常に素晴らしい提案だと思います。

留目:センシングはすごく面白くて、テクノロジーが増えてくるところでもありますし。ハードだけでなく、アプリケーションのレイヤーは面白くなってきそうですね。

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