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焦点:激戦の新潟県知事選、原発再稼働問題の天王山に

2016年10月14日

[新潟市/長岡市 14日 ロイター] - 世界最大の原子力発電所、東京電力柏崎刈羽原発の地元・新潟県で16日、知事選挙の投開票が行われる。終盤の選挙戦では、自民党などが推薦する前長岡市長の森民夫氏(67)と再稼働反対を鮮明にしている医師・弁護士の米山隆一氏(49)が一騎打ちの激戦になっているといわれ、電力業界関係者やエネルギー問題の有識者らは「原発再稼働問題の今後を左右する最も重要な自治体選挙」と、その行方を見守っている。

<原発問題で支持に変化も>

 「2週間前の告示の時には遠くに見えた相手候補の背中がもう、すぐ目の前に迫っている。もしかしたら追い越せるかもしれない」──。13日午後、米山氏は競合する森氏のお膝元、長岡駅近くの広場に集まった有権者に呼び掛けた。

過去4回、国政選挙に立候補し、いずれも落選の憂き目にあってきた米山氏は「今回は違う。行く先々でふるさと、命、子どもたちの未来を守ってほしいと言われる」と強調。「東京電力が原発を再稼働して、もう一度事故を起こさないと信じることはできない。再稼働を認めることはできない」と断言した。

演説を聞いていた元長岡市議でコメ農家の杉本輝栄さん(77)は「本当は森さんを応援しないといけない立場だが、原発再稼働とTPP(環太平洋連携協定)はどうしても止めてもらいたい」との理由で米山氏を支持すると述べた。

同じ13日午前8時。新潟駅前の交差点で森氏は「(日本海側に)新幹線を青森から大阪まで通そう。新潟が頑張らなければいつまでも表日本、裏日本。言葉は消えても中身は変わらない」などと訴える一方で、「選挙は厳しい情勢。皆さんのお一人、お一人が頼りです」と通行人に呼び掛けた。原発再稼働についての言及はなかった。

森氏の応援に駆けつけた元自民党幹事長の石破茂・前地方創生担当相は「政治は理想を語るだけではない。理想を実現できる力を持っているのが森さんだ。知事は誰でもいいのではない」と力説した。

<楽勝ムードが一転、緊迫>

3期12年務めてきた泉田裕彦知事が8月末、突如、地元紙の新潟日報との確執を理由に出馬見送りを表明。東電に対して厳しい姿勢を貫いてきた泉田氏の意向を受けて、原発推進派は柏崎刈羽再稼働への展望が開けたと沸き立った。

泉田氏不出馬に落胆した脱原発派の地元関係者は、後任候補探しでも難航。米山氏を担ぎ出したものの、同氏が県支部長を務めていた民進党は、支持団体の連合新潟が森氏支援に回ったこともあり、米山氏の公認や推薦を出さず自主投票とした。

 「森氏楽勝」のムードが漂う中、選挙戦中盤以降、国内メディアが「米山氏猛追」や「大接戦」などと伝えると情勢は一気に緊迫。石破氏ら大物が新潟入りし、てこ入れを図らざるを得なくなったようだ。

米山氏が再稼働阻止を前面に出したことで原発問題が争点に浮上。再稼働に積極的な自民党の推薦を受ける森氏は、今月8日、柏崎市での演説で「原子力規制委員会の結論が出てもすぐ再稼働ということではない。検証して問題が出れば、東電に対しても国に対しても『再稼働にはノー』という覚悟で臨んでいる」と明言した。

石破氏は13日の応援演説後、「(森氏当選の場合)新潟県知事として原発をどう考えるか、森さんが判断すること」と指摘した。

14日夜には民進党の蓮舫代表が新潟入りして米山氏応援の演説を行うという。

<思わぬ接戦、再稼働により重い意味>

国のエネルギー政策に関する審議会に多数参加してきた東京理科大学大学院の橘川武郎教授は、かねて「原発再稼働問題の天王山は柏崎刈羽だ」と指摘してきた。

すでに九州電力<9508.T>川内原発や四国電力<9507.T>伊方原発などで再稼働が実現してきたが、5年半前に福島で過酷事故を起こした東電による原発再稼働はより重い意味を持つ。

橘川氏は知事選が柏崎刈羽原発再稼働に与える影響について、「どちらが勝つか分からないが、米山さんが接戦に持ち込んだこと自体、意味がある。森さんが勝ったとしてもそう簡単に東電による柏崎刈羽再稼働とはいかないだろう」とロイターの取材で述べた。

(浜田健太郎 編集:北松克朗)

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