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「高圧経済」政策、唯一の危機打開策となり得る=米FRB議長

2016年10月15日

[ボストン 14日 ロイター] - イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は14日、経済危機による損失の修復を図るには「高圧経済(high-pressure economy)」政策が唯一の方策となり得る、との考えを示した。金利や当面の金融政策に関する直接的な言及はなかった。

議長は昼食会での講演で、力強い総需要と労働市場のひっ迫を伴う高圧経済が一時的に続くことで、経済損失を埋め合わせるための様々な手段が見い出せると語った。

イエレン議長はボストン地区連銀主催の会合で行った講演で、「特に将来の見通しをめぐる先行き不透明性が低下している場合、追加的な設備投資が促されるため、企業売上高の増加はほぼ確実に経済の生産能力の底上げにつながる」と指摘。

さらに、労働市場の引き締まりにより、労働市場への参加者のほか転職者が増加し、これにより一段と効果的で生産的な職業の適合性が得られる可能性があるとの考えを示した。

また、危機により経済が癒えることのないダメージを受け、財政・金融当局が対応の仕方を変える必要が出てきている可能性もあると指摘。これは中央銀行にとり、非伝統的な措置をより幅広く用意しておき、新たに悪化した際は迅速に利用することを意味していると述べた。

そのうえで、「危機後に経験したことから、総需要の変化が総供給に大きく、かつ持続的な影響を及ぼす可能性があることが示されている」とし、「堅調な経済情勢で、供給側が被ったダメージを一部回復させることができる場合、 政策担当者は、回復している間は供給は需要におおむね依存しないとの伝統的な考えの下での政策よりも一段と緩和的であることを目指す可能性がある」と指摘。

政策担当者がリセッション(景気後退)に対し迅速、かつ積極的に対応することは、景気後退の深刻度と継続性の緩和につながるため、これまで以上に重要となるとの考えを示した。

公共のインフレ期待がほとんど変動しない状況のなか、世界経済が今後も歴史的な低金利に直面し、景気後退(リセッション)が今後起きた場合、利下げだけでは十分に対処できない可能性を踏まえ、将来的にフォワードガイダンスなどの手段が再び必要になる可能性があると述べた。

イエレン議長の発言について、米債券市場では、議長が2%目標を上回るインフレ水準を許容する考えを示唆したと受け止められ、期間が長めの国債価格が大幅下落、10年債と30年債の利回りはともに4カ月ぶりの水準に上昇した。

米資産運用会社ダブルライン・キャピタルを率いる著名投資家ジェフリー・ガンドラック氏は、インフレ率が2%を超えても引き締めに踏み切る必要はないとイエレン議長は考えているようだと指摘。「一時的であればインフレ率は3%に到達することも可能だ」と述べた。

クレディ・アグリコル投資銀行のグローバル金利戦略部門責任者のデビッド・キーブル氏は「12月の利上げに向け準備を進めている可能性があるが、市場に先走らせないようにしている」と指摘。「議長は一段の物価上昇は気にしていないもようで、ゴールを数インチ動かしたようにも見える」と述べた。

一方、FTNフィナンシャルの首席エコノミスト、クリストファー・ロー氏は、「(一部地区連銀総裁の間で出ている近く利上げが実施されるとの)タカ派的な議論に対する明白な反論だ」と述べた。

市場ではFRBは12月に利上げに踏み切るとの見方が大勢となっている。

*第6段落目の「供給は需要に依存する」を「供給は需要におおむね依存しない」に訂正します

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