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米アジア回帰政策、タイ国王死去で不透明感増大

ロイター
2016年10月17日
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10月13日、オバマ大統領のアジア・太平洋地域に軸足を戻す外交政策の行方は、タイのプミポン国王死去で一段と不透明感が増している。写真は国王の肖像画。米カリフォルニア州の寺院で撮影(2016年 ロイター/Patrick T. Fallon)

[ワシントン 13日 ロイター] - オバマ大統領のアジア・太平洋地域に軸足を戻す外交政策の行方は、タイのプミポン国王死去で一段と不透明感が増している。国王は、第2次世界大戦後長らく続いてきた米国とタイの関係を強固にする上で重要な役割を果たしてきたからだ。

 折悪しく、米国のアジア回帰政策はうまく進んでいない。経済的な柱である環太平洋連携協定(TPP)は議会で審議が棚上げされ、オバマ氏退任前に承認される保証はなくなっている。

 オバマ氏は安全保障面では、南シナ海の領有権を主張する中国に対抗するため東南アジア諸国との連携を推進しようとしているが、フィリピンでは反米姿勢を鮮明にするドゥテルテ大統領が登場し、同国との軍事協力に暗雲が漂ってきた。

 インドネシアとマレーシアは国内政治を重視し、ASEAN(東南アジア諸国連合)で指導力を発揮するのを避けている。米国にとって伝統的に信頼できるこの地域の同盟国であるオーストラリアでさえ、中国との経済的な結びつきを損なわないようにと、その行動は慎重さが目立つ。

 タイについては、2014年の軍部によるクーデター以降は東南アジア地域の安定役としての期待度は既に低い。ただ今後さらに内向き志向が強まる事態が懸念されている。王位を継承する見通しのワチラロンコン皇太子が、プミポン国王が築いていた米国と親密な関係を持っていないという問題もある。

 かつてオバマ氏のアジア政策の首席顧問で現在はユーラシア・グループに勤務するエバン・メデイロス氏は、タイで服喪期間が設けられることにより民政移管が遅れる公算が大きいと指摘。ワチラロンコン皇太子がどういう人物なのかがよく知られていない点も不確実性の原因だとの見方を示した。

 米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)のマレー・ヒューバート氏は、オバマ氏がアジア回帰政策を打ち出した2011年と今では情勢が様変わりしたと話す。当時は、タイを関与させることができただけでなく、マレーシアの新指導者は地域安定への取り組みに積極的で、フィリピンは親米派で外交に非常に前向きなアキノ大統領が存在し、インドネシアの大統領も国際的だったという。

 その上で「プミポン国王の死去は、ただでさえかなり流動的な東南アジア地域に一層の不透明感を加えることになる。多くの国が『様子見』になっているため、米国のアジア回帰政策はさらに難しくなる」と説明した。

 プミポン国王がいなくなったことで米国は今後、地域安定のためにかつて敵国だったベトナムへの依存を高めざるを得なくなる。だがフィリピンとの協議がこじれたとしても、ベトナムがすぐに米国との軍事協力をどんどん進めてくれる展開はあまり期待できない。米国のオシアス駐ベトナム大使は11日にワシントンで、ベトナムと米国の安全保障面の関係拡大はこれまで非常に緩やかなペースにとどまっていると語った。

 CSISのヒューバート氏によると、アジア諸国は中国の脅威があるためなお米国のアジア回帰政策に対する熱意を失っていないものの、この政策の進ちょく度はこれからさらに遅くなりそうで、オバマ氏が退任した後に積極的な取り組みを復活させるのはますます骨が折れそうだという。

(David Brunnstrom記者)

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