一人一人が活躍する社会へ
企業ができることとは

 政府のスローガンである「一億総活躍社会」。その背景にあるのは少子高齢化という深刻な問題だ。国立社会保障・人口問題研究所の推測では、日本の人口は2060年までに8674万人になる。少子高齢化の進行は、労働人口の減少、経済規模の縮小を招く。この問題に立ち向かうには、少子化を解消しながらも、国民一人一人が活躍できる社会をつくる必要がある。そこで6月には「ニッポン一億総活躍プラン」が閣議決定された。ではこのプランを実現するために、個々の企業には何ができるのだろうか。

働き方改革と
環境整備が重要

 同プランでは新たな三本の矢が掲げられているが、これらを貫く横断的な問題意識として「働き方改革」がある。代表的なのが、同一労働同一賃金の実現など非正規雇用の待遇改善。また、仕事と子育ての両立を困難にする長時間労働の是正。そして生涯現役社会を実現するための高齢者の就労促進など。これらは労働法制の見直しに関わる課題でもあるが、企業としてできることは多々あるだろう。

 さらに、女性の活躍。わが国には潜在力を発揮できないままの女性が多くいると想定される。出産・子育ての支援や、管理職への積極的登用などにより、企業がキャリア女性の活躍を後押しすることは、競争力強化にも直結する重要な施策といえる。

 働き方改革の推進に向けて、組織や人事制度の見直しを始めている企業は少なくないだろう。その一方で、見逃されがちなのが、福利厚生の充実だ。社員が業務を進めやすい環境を整えることはもちろんだが、業務を離れた場所でも、心身の健康を保ち続けられる配慮が欠かせない。

 例えば、育児・介護休業への法定外の上積みを行うという形での福利厚生は、働き方改革を後押しするという意味で効果的だろう。さらには、働き手のモチベーションの維持・向上という側面でも効果が見込める。

 しかし一方で、従来の福利厚生は正社員を対象に想定したもので、非正規社員にまで範囲が及んでいないという指摘もある。今後労働市場が流動化していくことが予想される中、正規・非正規を問わず、すべての社員が生き生き働ける環境の整備は重要な課題となるはずだ。福利厚生を中心に、社員の労働環境整備を支援するサービスも出てきているので、検討してみるのもよいだろう。