経営×統計学

西内啓氏が特別指導!ビジネスに勝つ統計学(1)

 「真板くん、そんなんじゃだめよ、だめだめ!」

 隣席から真板の作業を見守っていた営業部の先輩社員の向井未来が、真板を引き留めていきなりだめ出しをしてきた。

 1時間もかけて作った力作だっただけに、真板はショックを隠せない。そんな真板にお構いなく未来はこう言い放つ。

 「初回の訪問事由をグラフにしたところで、何が分かるっていうの? こんなの部長に見せてご覧なさい。『それで、どうした』って突っ込まれるのがオチよ」

 確かに未来の言う通りだった。このグラフからは今何が起きているかも、これから何をすべきかも見えてこない。

 「まいったなあ。未来さんだったらどうしますか?」

 「統計学を使いなさい」──。

 「統計学? そんなの習ったことありませんよ(泣)」。理系出身の真板だったが、統計学は全くなじみのない学問だった。

 「統計学といったって、難しい数式を覚えろと言ってるんじゃないの。要はデータとデータの「関連性」を突き止めること、それが統計学なのよ。わが社の売り上げを左右しているのはいったい何なのか。それが分かればアクションを起こすことができる」

 「なるほど。で、どこから始めればいいですか」。素直にアドバイスを求める真板に、未来も悪い気はしない。

 「まずはクロス集計をやってみなさい。データとデータの関連をざっと調べるには便利だから。例えば、売上高と初回訪問事由に関連があるかどうかクロス集計してみれば?」

 「分っかりました!」。統計学と聞いて頭が真っ白になった真板だったが、データとデータを比べて関連を探ることなら自分にだってできる、と気を取り直して作業に取り掛かる。

 「未来くん、真板はどうした?」

 販売必達プロジェクトを任せてはみたものの、堂下は不安を隠せず、未来に探りを入れていた。「ようやく統計学の『入り口』に立ったところです。ここからどう進むかが問題ですね」。

 「そうか。手間を掛けるけどフォローしてやってくれ。頼むよ」

 「分かりました。ビッシビシ鍛えます!」

 そんな会話が交わされているとはつゆ知らず、作業に没頭する真板だった。

「経営×統計学」



基礎から学ぶ統計学“最強”入門

大量のデータが溢れる現代社会では、様々な事象を数字で捉え、本質を導き出す統計学という手法や思考法が、ビジネスパーソンにとって必要不可欠なスキルとなる。勘や経験ではなく、データに基づいた正しい意思決定を下すことが重要だ。統計学の基本中の基本を、初心者にもわかり易く徹底解説する。

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