最近、個人投資家のサロン的な会合が話題になることが増えた。

 たとえば、『投資信託にだまされるな』(ダイヤモンド社)の著者である竹川美奈子氏と、投資をテーマとしたブログ「rennyの備忘録」の管理人であるrenny氏が主宰する「コツコツ投資家が、コツコツ集まる夕べ」は月に1度、都内で開催されていて、毎回30~40人くらいの主に個人投資家が集まって歓談している。「コツコツ」以外にも、投資家同士が集まる会合がほうぼうにできている。

 筆者は、コツコツの会合に何度か出たことがある。会は、高くない会費制で、ビールなどを飲みながら、出席者同士が思い思いに会話することを中心に行われている。出席者に対する簡単なアンケート結果などを、主宰者側から発表することはあるが、大々的なプレゼンテーションがあるわけではない。出席者同士がひたすら談話しているというのが、会の様子だ。

 金融関係者やFP(ファイナンシャルプランナー)などではない一般投資家が集まることには、いくつかのメリットがある。
筆者の感ずるところ、出席者にとって最大のメリットは、自分と似た問題意識を持ちながら、おカネの運用を行っている「同じ立場の人」の存在を身近に感じることなのだろう。不確実な対象を相手にする以上、投資には心をざわめかせる要素が多い。しかし、心理的に不安定であることは、投資にとって好ましくない。同じ問題に取り組んでいる他人を間近に感じることの精神安定効果は大きい。

 もう一つのメリットは、情報交換だ。自分1人では気づかない運用商品もあるし、自分だけでは評価が難しい運用商品(大半は検討する価値すらないが)について、他人から情報・意見を吸収できることのプラス効果は小さくない。この場合、情報の受け手のメリットは明らかだが、じつは、情報を提供する側にも張り合いがある。