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アングル:債券市場の動揺、年末にかけ世界的株安の引き金にも

2016年10月20日

[ロンドン 18日 ロイター] - 世界の債券利回りは今月、金融緩和の変化が意識されて上昇している。この動揺が年末にかけての政治イベントと共鳴すると、投資家が高騰した株と債券から大挙して資金を引き揚げる恐れもある。

今月は、主要各国が金融緩和頼みから減税や財政支出拡大にシフトする兆しを投資家が察知し、過去最低まで下がっていた債券利回りが急上昇した。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BAML)が世界のファンドマネジャーを対象に今週実施した調査では、今後半年間、世界の株価を動かす最大の要因は米国債利回りになるとの見方が示された。回答者の4分の3は、米国債価格は高過ぎると答えている。

今後数カ月間、市場に転換点をもたらしそうな政治日程は目白押しだ。11月の米大統領選挙、憲法改正の是非を問う12月のイタリア国民投票に加え、来年3月には英国が欧州連合(EU)離脱交渉に着手する計画。来年はまた、ドイツとフランスで選挙が控えている。

BAMLは顧客に対し、所得格差の縮小を求める声が高まっているため、各国政府の政策が金融資産の価格を押し上げている量的緩和やマイナス金利から離れていくだろうとの見方を示した。

中央銀行サイドからも変化の兆しがうかがえる。米連邦準備理事会(FRB)は12月の利上げを示唆し続けており、欧州中央銀行(ECB)と日銀は追加緩和の示唆を控えるようになった。英国は国民投票でEU離脱派が勝利して以来ポンドが2割近く下がったためインフレが懸念され、イングランド銀行(中銀)の追加緩和の可能性はさらに後退したようだ。

さらには石油輸出国機構(OPEC)の減産合意を受け、石油価格は1月の底値から2倍近くに上昇しており、債券市場にとっては悪材料がそろいかねない状況だ。

金融緩和で押し上げられた債券と株が下落すれば、投資家は年末までに利益を確定しようと売りに殺到しかねない。

下落余地はたっぷりある。ロイターが四半期毎に調査している資産23種類のうち、17種類は年初に比べて上昇している上、多くはその幅が大きい。

米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の経済アドバイザー、ヨアヒム・フェルズ氏は「今年ボラティリティが急上昇する確率は高まっている。市場は低金利環境とハト派的な中銀に甘やかされ、すっかりおとなしくなっている。この枠組みが試練を迎えるだろう。その時期は近いかもしれない」と語った。

<横並びのリスク>

BAMLの最新の調査では、(1)優良株への投資(2)欧米の投資適格級社債への投資(3)低ボラティリティ戦略─の3つが今年、最も集中的に行われている取引だが、いずれも債券利回りの上昇に弱い。

また、企業収益が低迷しているにもかかわらず、世界の主要株価指数の中には過去最高値近辺で推移し、バリュエーションが過去10年間の最高に近いものもある。トムソン・ロイターのデータによると、世界の企業利益は今年1%の増加にとどまる見通しだ。

欧州の銀行を巡る不安や中国の景気減速、米ドル高による新興国市場やコモディティ価格への影響も、暗雲を広げ続けている。

シティグループのアナリストによると、現在は成長や物価、金利の見通しが異例なほど安定しているが、それがリスクを生む恐れがある。

シティのティナ・フォーダム、ティーア・レート両氏は「確実性が高いとの認識は合意形成を生み、合意形成は慢心を、慢心はリスクを生む。合意が形成された結果、市場のポジションが横並びになり、一極に集中したときにはなおさらだ」と書いた。

(Jamie McGeever、Vikram Subhedar記者)

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