次に、「PFが大きければ大きいほど、良い投資戦略と言えるのか」について考えてみたいと思います。PFが大きいということは、それだけ儲けが大きいということです。「儲けることが投資の至上命題なのだから、答えはイエスに決まっているじゃないか」と思われるかもしれません。

 もちろん、基本的には「イエス」です。しかし、数値には現実性も求められます。

 たとえば、ある投資戦略を実践した結果が、「総利益100万円・総損失10万円」なら、PFは「10」になります。が、そういった数値は、投資期間が数週間とか数ヵ月といった短期間でなら出るかもしれませんが、投資戦略としては「たまたま成功しただけ」の可能性が否めず、信頼に足るデータとは言えません。

 多くの人は、検証結果(連載第1回目第2回目第3回目で見てきた資産の増え方のグラフ)を見て、縦軸の資産が、最終的にどれだけ高い位置に来ているかばかりに目を奪われます。しかし、それは10年ないし15年の長い月日をかけて出た結果です。

 私たちは、いわばドラマの結末を知った上で、途中を見ているわけです。
 ところが投資をしている最中には、もちろん結果は見えません。その投資戦略を成功するはずと信じながら、失敗する不安も抱えています。

 そこで、過去にさかのぼって、自分がその投資戦略を採用していたと仮定、途中の自分がその時々でどのような心理状態であっただろうかを想像してみてほしいのです。

ガマンできずに投げ売ったら、そこから反転して上昇…

 たとえば、こんなケースです。

 過去10~15年の株価データに基づいて見つけた投資戦略。PFがよく、ある程度の期間、投資を続ければうまくいく可能性が高いものを見つけ出せたとします。
 しかし、実際に株を買ってみたところ、いきなりの下落。下げ止まる気配もなく資産がみるみる目減りしていきます。
たまらず株を投げ売ったらそこが大底!反転して勢いよく上げる株価を見ながらほぞを噛む――。

 ありがちな失敗談ではないでしょうか。

 人間には、「頭ではわかっていても、心が納得してくれない」ことが多々あります。
後で冷静になって振り返れば、「頭で考えた通りにやればよかった…」となるのですが、ここぞと言うときに頭と心の葛藤があると、たいていの場合には心が勝ちます。
 それは、人間ですから仕方のないことです。

 それを受け入れた上でどう対策を立てればよいか?
 自分の心が納得してくれる範囲を知って、投資戦略を選ぶことです。

 具体的には、「どこまで資産が減ること“ドローダウン”を許容できるか」がポイントになります。
自分がいくらまで、あるいは何パーセントまでなら資産が減っても、その投資戦略を継続できるのか。あらかじめ想定して覚悟ができていれば、持ち堪えることができます。