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インタビュー:日本株、慎重ながらやや強気=ブラックロック・ジャパンCIO

2016年10月21日

[東京 21日 ロイター] - ブラックロック・ジャパンの福島毅取締役チーフ・インベストメント・オフィサー(CIO)は20日、日本株の投資判断は中立だが、慎重ながらもやや強気であり、先行き見通しはポジティブとの見方を示した。

年末の日ロ首脳会談で成果を出し、年明けの憶測がある解散・総選挙を経てアベノミクスが勢いを取り戻したうえで、痛みを伴う構造改革が実行されることに期待を示した。

ブラックロック・ジャパンは、9月末時点で総額5兆1200億ドル(約530兆円)を運用する世界最大の資産運用会社ブラックロック(本社ニューヨーク)の日本法人。福島氏は5月にCIOに就任し、今回初めてメディアのインタビューに応じた。概要は以下の通り。

──日本株の投資スタンスは。

 「当社グローバルの投資判断は『中立』。東京からは、慎重ながらやや強気との見方を伝えている。その理由は4つ。まずマクロ的にはデフレを脱却したこと。そして業績。為替の影響でもう少し下方修正があるだろうが、8割くらい織り込んだ。ミクロでは、日本企業はキャッシュを沢山持っており、自社株買いを進めているほか、M&Aも出ているし、日立<6501.T>や富士通<6702.T>の『事業の集中と選択』の動きもポジティブ。最後は需給で、日銀の年間6兆円の(ETF)買いに加え、自社株買いもサポート要因。公的マネーは大きくは買わないが、ネットセラー(売り越し主体)にはならない」

 「われわれもまだ『慎重』スタンスだが、外国人がいつ買ってくるかが鍵。米国景気がもっとはっきり強いと分かってイールドカーブがスティープ化すれば、ドル高を通じて輸出企業の業績に期待が持てて日本株にプラス」

 「今もそうなりつつあるが、外国人が本格的に(日本を)見直すには、アベノミクスの結果が出る、あるいは『これは』という施策が出ることが必要。それらはまだないが、皆アベノミクスには一度がっかりしており期待値は低い。少しでも期待値が戻ればプラスになる。1月ごろ選挙が実施される可能性もあるが、まだ見えないため、海外投資家は様子見している。それがクリアにならないと本格的な上昇につながらない」

──年初来、海外勢の日本株売りが膨らんでいる。

 「13年に15兆円買い越した外国人だが、15年夏から売り方に回り、今年1─2月は激しく売った。当時は原油価格が26ドルまで下がり、アラブ系ソブリンファンド(SWF)などが売った。ただ足元は原油が50ドルに戻しているほか、サウジアラビアの起債もあり、株を売って金を捻出する必要はない。(外国人の売りは)ほぼひと段落したと思う」   

 「しかし、まだ足の長い(長期)資金は本格的に入っておらず、短期マネーが中心だ。長期投資家はやはりアベノミクス第三の矢の心意気と結果を見たい、ということだろう」

 「日本株の見通しはポジティブ。ドル/円は、年末まで100─105円の推移をみこんでいる」

──何がカタリストとなるか。

 「認識のズレが埋まることだ。まずアベノミクス1.0では、海外メディアが第三の矢を構造改革とする一方、政権は成長戦略だと言っていた。そのズレが解消されないままアベノミクス2.0が出てきて、海外勢が今後6カ月くらいで結果を見たいと考える一方、21年まで続投可能性が伝わる安倍首相は時間をとってやりたいと思っている。つまりタイムホライズンが違う」

 「この認識のズレがどこで埋まるかだが、12月の日ロ首脳会談を成功裏に終え、おそらく1─2月に選挙を行ってポリティカルキャピタル(政治的資本)を高めた上で、やや痛みを伴う改革まで踏み込むかどうか──そのタイミングではとみている。それまでは難しい」

──日銀の金融政策をどう見るか。

 「9月の決定会合で金融政策の軸足をイールドカーブにシフトしたことは、4つの点で評価している。1つ目は量から金利へのシフト。80兆円買わないといけないというのがなくなり柔軟性が出た。2点目は、オーバーシュート型コミットメントにより期日のプレッシャーがなくなった。3点目は、これまでのサプライズからコミュニケーションを重視するようになった。4つ目は、ETF買い入れで日経平均型<.N225>の比率を下げてTOPIX型<.TOPX> を上げたこと」

 「イールドカーブのいわば『ソフト・ペッグ』は、しばらく効果があると思う」

 「金利が下がれば買わなくていいのでテーパリング(縮小)だと解釈する向きもあるが、全くそうではなく、あくまでアジャストメント(調整)と考えている」

 「つまり、今までと同じことを続けるがより長い期間コミット、金融機関にも配慮し緩和を続ける、ということ。マーケットではいつも日銀会合前にボラティリティが上がるが、今後はそれほど上昇しないのでは。日銀は当面もう動かず、政治にバトンタッチしたと考えている」

(インタビュアー:植竹知子、佐野日出之 編集:伊賀大記)

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