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風俗嬢にもデフレの寒風「18歳でも客が付かず40歳で路頭に迷う」

秋山謙一郎 [フリージャーナリスト]
2016年10月22日
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タブーを冒し、体を張るリスクを取りながら高給を得る、というのが風俗嬢だったはずが、今やタブーやリスクはそのまま、しかし給料は激減という事態に陥っている。現役風俗嬢や風俗経営者に話を聞いた。(フリージャーナリスト 秋山謙一郎)

ただ働くだけでは稼げない!
風俗嬢に求められるセルフプロデュースとは

 かつて、風俗といえば、女性が自分の体を元手に大金を稼ぐことのできる職業だった。短期間でお金を稼ぎ、貯蓄をした後は昼間のOLに戻るか、もしくは自営業に乗り出すか、結婚するか――。いわば、貧困人生をリセットし、女性たちが再出発するための場として機能していたはずの風俗は今、「働けど稼ぎは頭打ち」という、“普通”の仕事と変わらない苦境に陥っている。

 「性は人が生きる上で大事なことです。その性に携わるのが風俗嬢です。だから風俗嬢はもっと誇りを持っていい筈です。私は誇りを持って風俗嬢をしています。いけませんか?」

体を張るリスクがあるからこその高給、だったはずの風俗嬢は、今や「普通のOL」と大差ない稼ぎしか得られない職業となった

 大阪市内にあるSMクラブでS嬢として働くレイさん(37)が熱く語る。

 レイさんが風俗業界と関わりを持つようになったのは、大学卒業の年、海外旅行に行く資金調達のため、「覗き部屋」でアルバイトをしたことがきっかけだった。以来、途中に何年かのブランクを挟みながらも、男性の自慰行為を見たり、手で手伝うサービス「オナニークラブ」を経て、現在のSMクラブへと辿り着いた。どれも「体を使わない」風俗業という点で、そのキャリアは一貫している。

 「一番最初の覗き部屋がいちばん怖かったです。大勢の男性が酔って団体で来ることもあります。だから、もしかすると知り合いが来るのではないかと。それで3ヵ月ほど働いて卒業旅行の費用が貯まったら、すぐに辞めました」

 こう語るレイさんだが、風俗業界との縁は切れなかった。就職した会社から関西での勤務を命じられたが、休日は何もすることがない。仕事は毎日、定時の出退勤だ。慣れない土地での1人暮らし、彼氏もできなかった。実家や母校の大学に遊びに行くにも交通費が嵩む。経済面でも余裕を持ちたい、前々から関心のあった心理学やカウンセリングも学びたい。これらを同時に満たす何かはないものかと探していると、「オナニークラブ」の求人が目についた。

 「風俗店に来る男性は、奥さまや彼女にはとても見せられない素の姿を晒すためにやってくるものです。そこから心の闇というか心理を学ぶきっかけにはなりました。でもお給料が安すぎました。8時間拘束でついたお客様はたった1人ということもありました。それで体力的には厳しいですが、今のSMクラブに移ったのです」

 レイさんが語るように、オナニークラブでは、一般に「女性に見てもらうだけ」のコースは、客は30分あたり5000円から6000円という価格設定だ。風俗嬢の取り分は、「どの業態でも客が支払う額の半分くらいが相場」(大手風俗チェーン店社員)である。

 1日に客1人だと、30分コースで2500円から3000円だ。今、SMクラブでは毎週土日の出勤で1日当たり3人の客がついて3万円弱ほどの収入を得ている。「副業風俗嬢」としては満足のいく額だという。

 レイさん本人が「誇りを持っている」と語るように、その仕事ぶりや働き口の見つけ方は、かなり戦略を練ったもの。「(風俗業界で)何をしたいのか」「何ができるのか・できないのか」「いくら稼ぎたいのか」という自己分析に基づいている。

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