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焦点:安倍首相がドゥテルテ大統領と膝詰め会談へ、つなぎとめに腐心

2016年10月21日

[東京 20日 ロイター] - 今月25日からフィリピンのドゥテルテ大統領を国賓として迎える日本にとって、中国寄りの姿勢を鮮明にした新政権をいかにつなぎとめるかが焦点となる。日本側は公式の首脳会談に加え、安倍晋三首相と同大統領の間で小規模会合の開催を計画。個人的な信頼関係を築き、南シナ海問題に対する日本の立場を伝える考えだ。

<「中国に取り込まれるのは困る」>

日本とフィリピン両政府の関係者によると、日本側はごく一部の関係者に限った安倍首相とドゥテルテ大統領の会合をフィリピン側に打診。26日の公式首脳会談後に開く方向で調整中だという。

日本政府の関係者は会合の狙いについて、首脳同士の個人的な関係を深めることと説明する。静かな環境の中で膝を突き合わせ、「南シナ海や法の支配の重要性について日本がどう考えているのか、スタンスを説明したい」と、同関係者は語る。

ぎくしゃくしている米国との関係改善を日本が促すのは「今のタイミングでは反発される恐れがある」(同関係者)として控える見通し。米国が人権問題と批判しているドゥテルテ大統領の麻薬犯罪の取り締まりも、日本は今回の来日中に取り上げない方向だ。岸田文雄外相も大統領と小規模な夕食会を開く。

 「ドゥテルテ大統領は日本には良い感情を持っているようなので、一連のイベントを通してそれを拡大させたい」と、別の日本政府関係者は言う。「フィリピンが中国と対話を進めるのは地域の安全保障にとって良いことだが、中国に取り込まれてしまうのは困る」と同関係者は話している。

フィリピンは南シナ海のスカボロ―礁の領有権をめぐり、中国と対立している。中国が岩礁を埋め立て、軍事拠点化を図ることを懸念する米国と日本は、フィリピンの主張を支持するとともに、沿岸警察や海軍の能力向上を支援するなどしてきた。

しかし、今年6月末に誕生したドゥテルテ政権は、米国との連携を強めたアキノ前大統領の外交方針転換を示唆。今月20日、東南アジア諸国連合(ASEAN)域外の初の外遊先として訪れた中国では「軍事的にも経済的にも米国と決別する」と述べた。関係者によると、この発言に日本の外務省では衝撃が走ったという。

 「中国は南シナ海への主張をさらに強める可能性がある。東シナ海でも同様のことが予想され、日本にとっては頭が痛いだろう」と、調査会社IHSマークイットで東アジア情勢を分析するアリソン・エヴァンス氏は語る。「半年前よりも日本の懸念は深まった」と同氏は指摘する。

<民間企業とも会合>

ドゥテルテ大統領は、25日から27日まで日本を訪問する。滞在中、日本側はフィリピンの海洋監視能力の向上支援をあらためて表明する見通し。両国政府の関係者によると、日本が9月に発表した大型巡視船の供与について署名する。フィリピンの農業支援や、ミンダナオ島の反政府勢力を取り締まるための小型船供与についても合意する可能性がある。

すでに貸与で合意している海上自衛隊の航空機TC-90については、リース価格など詳細な条件を決める方向で調整している。日本は同機を通じて両国の防衛協力を深めたい考えで、11月にはフィリピン軍のパイロット2人を徳島県の海上自衛隊基地で訓練する予定だ。

大統領は日本の民間企業との会合も計画しており、現地に工場を持つトヨタ自動車 <7203.T>や三菱自動車工業 <7211.T>などに投資拡大を呼びかける考え。最終日には天皇陛下に面会する。

菅義偉官房長官は21日の定例会見で「この機会をとらえて戦略的パートナーシップの一層の進展に向けて、しっかり取り組んでいきたい」と発言。フィリピン政府の報道官は大統領の訪日を前に「日本との活気ある関係を高く評価している」とコメントした。

(久保信博、ティム・ケリー 取材協力 リンダ・シーグ 編集:田巻一彦)

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