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ソーシャル グローバルトレンド
【第6回】 2016年10月25日
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武邑光裕 [クオン株式会社 ベルリン支局長]

ゾンビvsサイボーグ!?「クルマ最終戦争」の行方

ガソリン車の排気口。内燃機関車はゾンビか?

数年前はSFのように思えた自動運転車の登場が迫っています。それは、ガソリン自動車がゾンビとなり、ヒトによるクルマの運転が禁止されるかもしれない未来に直結しています。自動車大国ドイツでは、2030年までにディーゼル/ガソリン車の走行禁止が決議され、電気/自動運転車の開発が本格化しています。スマホを臓器の一部としてサイボーグ化しはじめたヒトは、自動運転車とどのような関係を築くのでしょうか?

電気✕自動運転車

パリ・モーターショーは1898年に創設された世界で最も長い歴史を持つモーターショーであり、ポルト・ド・ヴェルサイユ見本市会場で隔年開催される

 2016年10月1日から16日まで、クルマの歴史とともに歩んできたパリ・モーターショーが開催されました。入場者数120万人を誇るこのモーターショーに異変が起こりました。ボルボ、ロールス・ロイス、フォード、アストン・マーティン、マツダといった名だたるメーカーが今年のショーをスキップしたのです。

 一方、世界最大級の消費者家電見本市であるCESでは、テレビやパソコンと同じ目線から電気自動車や自動運転車メーカーの出展が相次いでいます。クルマにはガソリン車だけではなく、自動運転車を筆頭に、社会全体を巻き込んだIoT(モノのインターネット化)やAIロボット、そしてビッグデータ活用による、世界中の都市交通課題の解決をめざすデータ・モビリティの主力製品として注目が集まっています。

 こうした流れを受けて、従来のモーターショーが大きな変局を迎えています。欧州で人気のあったディーゼル車のトレンドは大きく後退し、VW(フォルクスワーゲン)やダイムラーなど、世界の主要メーカーによる電気運転車(EV)への取り組みが一気に顕在化してきたのです。

ディーゼル/ガソリン車禁止の衝撃

メルセデスのEVコンセプトカー、ジェネレーションEQ。エレクトリック・インテリジェンスを意味する車名は、新たなブランド「エモーション&インテリジェンス」に由来する。ワイヤレス給電に対応する ©Daimler AG

 2016年9月23日から「低公害モビリティのための欧州戦略」を審議していたドイツ連邦参議院は、2030年までにディーゼルとガソリン車を禁止するという決議を10月初旬に採択しました。この採択はすぐさま法的拘束力を持つものではありませんが、ドイツ連邦参議院はドイツ16州を代表する立法機関であり、ドイツの決定は伝統的にEU全体の規則に反映されるので、この決定には大きな衝撃が走りました。VWのディーゼル・スキャンダルを受けて、一気にゼロ・エミッションを目指して内燃機関車を禁止するという決議に、ドイツのみならず欧州の自動車業界の混乱は必至です 。(※1)

武邑光裕(たけむら・みつひろ)[クオン株式会社 ベルリン支局長]

メディア美学者。武邑塾主幹。日本大学芸術学部、京都造形芸術大学情報デザイン科、同大メディア美学研究センター所長、東京大学大学院新領域創成科学研究科、札幌市立大学デザイン学部(メディアデザイン)で教授職を歴任。2015年より現職。専門はメディア美学、デジタル・アーカイヴ情報学、創造産業論、ソーシャルメディアデザイン。著書『記憶のゆくたて デジタル・アーカイヴの文化経済』(東京大学出版会)で第19回電気通信普及財団テレコム社会科学賞を受賞。2015年よりクオン株式会社ベルリン支局長。2016年、取締役就任。


ソーシャル グローバルトレンド

ヨーロッパ各国から様々なクリエイターやテクノロジストが集まる街、ドイツ・ベルリン。この街を訪れると、自ずとソーシャルビジネスのグローバルトレンドを垣間見ることができます。本連載では、ベルリンに在住する著者が現地で見た、ソーシャルビジネスの最前線を紹介します。

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