民主党の小沢一郎代表が突然代表辞任の意向を表明した。結局辞意を撤回したが大いに信用を損なった。

 本稿は政治がテーマではないが、連立への反対を自分への不信任と決めつけて辞任を言い出す我慢の不足と、辞任表明会見で民主党の政権担当能力への疑問を述べた明らかに党に不利な発言に驚いた。

 そして、小沢氏辞任表明の2ヵ月前には、なんといっても一国の首相であった安倍晋三氏が辞任したし、近くは、防衛省の守屋前事務次官が小池前大臣との確執の後に退任した。

 一方、米国では、サブプライム関連の損失の責任を取って、証券、銀行の共に大手であるメリルリンチとシティグループのCEO(最高経営責任者)が辞任を発表した。また日本では、まるで企業の倫理自体が賞味期限切れしたかのように不祥事の露見が相次ぎ、何人かの経営者の退任が発表されている。

 さて、資金運用のプロであるファンドマネジャーの退任に、これらの退任と似た点があるかと思い返してみた。驚くべきことに、いずれのケースにも類似例があった。

 これらのなかで案外少ないのは、安倍前首相型のファンドマネジャー引退だ。政治家もそうだろうが、ファンドマネジャーの仕事には、自分で意思決定できる権限と自分がその結果を引き受けるスリルがあり、よほど不向きな人でも、自分から辞めると言い出すことは少ない。それでも、自信を喪失したりプレッシャーに耐えられなかったりして辞めるケースはある。

 小沢氏型の退任は割合よくあるケースかもしれない。ファンドマネジャーが自分の投資哲学にこだわって、所属組織と対立し、組織を批判して辞めていく(小沢氏は離党しなかったが)事例は少なくない。