ダイヤモンド社のビジネス情報サイト

アングル:起債成功で「サウジ売り」に変化、原油安懸念が後退

2016年10月22日

[ドバイ/ロンドン 20日 ロイター] - サウジアラビアが初の海外向けの国債発行に成功したことで、20日の市場では同国の国債保証コストが年初来の最低水準に低下、銀行株は急上昇した。

原油安で石油収入が減っているサウジは、いずれ景気後退に陥り、最終的には通貨リヤルの米ドルとのペッグ制を断念せざるを得なくなるとの懸念から、今年はリヤルと株価が大幅下落していた。

しかし19日に発行した175億ドルの国債が強い需要を集めたため、そうした見方に変化が生じている。

ロンドンの債券トレーダーは「多くのヘッジファンドが、ペッグ制廃止の可能性などの材料でサウジに投機的な売りを仕掛けていた。起債がこれほどの成功を収めたため、ある種の巻き戻しが起こっているのは明らかだ」と話す。

サウジの5年物クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)<SAGV5YUSAC=MG>は20日に10ベーシスポイント(bp)低下して132bpとなった。今後5年間のデフォルト(債務不履行)確率を9%と見込む水準だ。

サウジのCDSはフィリピンの113bpをなお上回っており、市場の信頼回復には程遠い。2015年半ばまで、サウジのCDSは60bp前後で推移していた。

だが不安が後退していることは他の市場でもうかがえる。不良債権への懸念から4月以来20%超も下落していたサウジ銀行株指数<.TBFSI>は3.5%反発した。

カタール国債(2021年6月償還)<74727PAT8=> の利回りが18日以来5bp低下するなど、湾岸地域全体でも市場心理が好転している。

<起債の恩恵>

サウジ国債への需要は、同国経済への期待というよりは世界的な超低金利や金余りに起因する部分が大きい。

とはいえ、起債はさまざまな面でサウジに恩恵をもたらしそうだ。これを機に新たなドルの資金源を確保したことがその1つ。早ければ来年にも次の国債が発行され、リヤルの下落圧力が軽減されるとバンカーは見ている。今回の起債だけでも、来年の経常収支赤字をほぼ補える可能性がある。

第2に、サウジは債務返済のための海外資産の切り崩しをペースダウンすることができる。海外資産の売りは投機的なリヤル売りの主な材料だ。

アブダビ商業銀行の首席エコノミスト、モニカ・マリク氏の推計では、資産売却額は今年これまでの月平均68億ドルから、来年は30億─35億ドルに減る見通し。

サウジ中銀が保有する海外資産は8月時点で5540億ドルで、海外で大規模な起債を行えば、サウジは少なくとも数年間は息をつけるかもしれない。

国内経済にも恩恵は及びそうだ。オイルダラーの流入減で銀行の余剰資金は減り、今年は貸し出し金利が上昇して民間セクターの成長を損なっている。

銀行関係者によると、起債で調達した175億ドルの一部は今後数カ月中に国内銀行に預け入れられる見通し。このため銀行は貸し出しの余裕が生まれ、一時的に金利の上昇が抑制されてもおかしくない。

政府は何カ月間も建設会社に対する支払いを滞らせているため、銀行株は建設業界向けの債権が悪化するとの懸念で売られてきた。アッサーフ財務相は起債直後のテレビインタビューで、今後は企業への支払いが増えるだろうと述べた。

(Andrew Torchia記者 Karin Strohecker記者)

スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR


ロイター発 新着ニュース

ロイター提供、日本と世界の最新ニュースをお届けします。

「ロイター発 新着ニュース」

⇒バックナンバー一覧