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伊銀の不良債権問題、現場悩ませる売却の足かせ

ロイター
2016年10月25日
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10月23日、イタリア第3位の銀行モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ)が打ち出した不良債権売却計画の取りまとめ作業を進めている現場では、膨大な量の書類との格闘が続いている。写真は同行のロゴ。シエナで2013年1月撮影(2016年 ロイター/Stefano Rellandini)

[ミラノ 23日 ロイター] - イタリア第3位の銀行モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ)が打ち出した不良債権売却計画の取りまとめ作業を進めている現場では、膨大な量の書類との格闘が続いている。

 モンテ・パスキからローンデータの精査と分析を任されたプロトスのルカ・マッツォーニ最高経営責任者(CEO)は「非常に骨が折れる仕事だ。たった1件のローンでも関連書類が戸棚一杯になる。あるケースでは、1件で部屋が半分書類で埋まった記憶もある」と話した。

 欧州中央銀行(ECB)はモンテ・パスキに年内に不良債権問題を解決するよう迫っている。だがプロトスによる作業の難しさから、イタリアの銀行のローン債権の記録がいかに不完全で、それが不良債権売却の妨げになる公算が大きいかがうかがえる。

 専門家によると、イタリアの銀行は、中央銀行が設定した10万ユーロ超のローン債権に関する情報の一定期間ごとの報告期限を達成するのは難しいかもしれない。

 総額90億ユーロ相当のイタリアの不良債権を保有するアナキャップ・ファイナンシャル・パートナーズを率いるジョー・ジャンナモア氏は「銀行はあらゆる分野で苦しめられている。時間がないし、資源の観点から限界に達する可能性がある。情報技術(IT)システムなどに絡む問題も一朝一夕には解決できない」と指摘した。

 その上で「もし銀行が内部情報を一元的に把握できないとすれば、長い時間と人手が必要な非常に労働集約的な作業に直面する」とみている。

 イタリアの不良債権が2007年の金融危機開始以降で4倍に膨れ上がった中で、銀行は最新の記録を整備できていないため、いざ売却を迫られても買い手に必要な情報をほとんど持っていない状況だ。

 プロトスのマッツォーニ氏によると、質の高い情報があれば不良債権の売却価格は最大10%上乗せできる。7月に4億5000万ユーロの不良債権を売却したBPERのアレッサンドロ・バンデッリCEOも「われわれが学んだ重要な教訓は、もし十分なデータベースが存在するなら、売却価格は高くなるということだ」と話した。

 これは一般的な銀行の不良債権売却にとって重要だが、モンテ・パスキの場合、売却価格が下振れしてしまうと事態はもっと厄介になる。もともと野心的な増資計画が、穴埋めすべき資本不足額がさらに増えることで一層成功が危ぶまれるからだ。

 イタリアで不良債権問題が進展しない理由としては、銀行が地域社会とのつながりが深いため、積極的な債権回収をためらうという面も挙げられる。

 無担保ローン回収を専門とするAZホールディングのカーミン・エバンゲリスタCEOは「銀行はイメージが傷ついたり、地域社会との伝統的な親密さが壊れるのを嫌って、(回収に)踏み込まない。われわれが新たなポートフォリオを取得してまず最初にやるのが借り手に対して、債権者がもはや銀行でなくなったと通知することで、それだけで通常はある程度返済が進む」と述べた。

 銀行は、無担保ローンについては記録が乏しくても標準的な市場価格が存在するので何とか売却にこぎ着けている。ただPwCによると、イタリアの破産者向けローン2000億ユーロの約半分は、不動産担保が付いている。これらのローン回収には、正確なデータが欠かせない。

 一方、債権回収で最も効率が悪いのは訴訟で、平均手続き期間は7.8年にもなるという。

(Valentina Za記者)

 

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