2020年度から本格的に始まる大学入試改革。中学入試に与える影響は?今後、中学入試はどうなるのか?漠然とした不安を抱えている保護者は多いのではないか。難関校合格の実績を着実に積み重ねる早稲田アカデミーの教務部長を務める入吉弘幸先生に中学入試のメリットについて聞いた。

早稲田アカデミー教務部長
入吉弘幸先生

 今、中学受験者数は、横ばいから微増に向かっているという。ゆとり教育下での“中学受験ブーム”の後、いったん公立中高への揺り戻しがあったが、2020年度の大学入試改革への不安もあって、大学付属校を中心に、中高一貫校志望者が再び増え始めているのだ。

「これまでにも何回か中学入試ブームがありました。しかし現在は、一部の学校に人気が偏っているという点で、これまでの受験ブームと異なっています。伝統のある上位校に加えて、積極的な改革を行う学校が注目を集めており、学校改革への取り組み方次第で、人気に“差”が出てきていると思います」と、入吉先生は分析する。

 20年度の大学入試改革については、いまだ不透明な部分もあるが、思考力や表現力を重視する方向に進むことはほぼ確実といわれている。多くの私立中高上位校では、従来からそれらの育成に注力しているため、大学入試改革による教育内容の大幅な変更は見られない。

志望校合格は第1目標だが、その努力の過程を大切にする

 その一方で、改革に積極的に取り組む学校が増えている。改革といっても、これまでのように医学部・東大進学コースなどを新設する、というものではない。語学教育に力を入れ、帰国生の枠を広げるなど、グローバル教育に特化する学校が目立つ。

「ただし、ただ改革を打ち出すだけでは意味がありません。学校の方針を現場の先生方がよく理解し、その実現のために取り組んでいくことが重要です。それを確かめる方法としては、学校説明会などに出掛けて、保護者ご自身で学校の姿勢を見極めるのが良いでしょう」

 入吉先生が危惧しているのは、大学入試改革を不安視するあまり、保護者たちが大学入試をクリアすることだけを考えた学校選びをしてしまわないか、という点だという。