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消毒液酎ハイに親指混入ラーメン、取り繕う外食企業の不徳

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第182回】 2016年10月29日
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 天高く馬肥ゆる秋だが、何を食べても美味しいこの時期、ちょっと食欲が減退するような不祥事が飲食業界で起きている。おまけに対応がまずかったものだから、騒動を起こした飲食店への信頼度までが失墜する始末だ。

 まずは、大手焼き鳥チェーン『鳥貴族』南柏店での不祥事だ。地元の大学生が言う。

(写真はイメージです)

 「スイカチューハイとゆずはちみつチューハイを頼んだとき、味が変だったので、店員にそう伝えたのですが『はあ~?』見たいな感じで相手にしてもらえなかった。こっちも自信がなかったのでそのままにしてしまったんですが、もっとヤバいものと間違えてたらどうするつもりだったんですかね」

 酎ハイの味が“変”だったのは、“消毒用アルコール”を酎ハイ用の焼酎と誤って使用していたからだ。七月十九日から二十三日の五日間にわたって提供された消毒用アルコール入り酎ハイは計一五一杯にも及んだという。

 鳥貴族がこの事実を公表したのは、それから三週間を経た八月十五日になってからのことだ。何故こんなことになったのか、社会部記者が説明する。

 「南柏店で酎ハイのドリンクサーバーに焼酎を接続するべきところを、誤って従業員が手指の消毒に使う食品添加物アルコール製剤につないでしまった。客の指摘で十九日には異常に気づいたようですが、原因がサーバーの不具合にあると判断し、二十三日のサーバーのメンテナンスまで提供し続けていました。同社の発表では健康被害は報告されていないとのことですが、発表までに三週間もかかるなど、謎が起こります」

 体調不良を訴えた人がいなかったのを幸いに、ミスそのものをなかったことにしようとしたのか。だとしたら、この焼き鳥チェーン店はちょっと信用できない。

 鳥貴族と言えば、全品二八〇円均一という安さからも、若い人たちのあいだでは“トリキ”の愛称で親しまれている焼き鳥チェーン店だ。一九八五年に第一号店を出店以来、事業は拡大し、現在は五〇〇店舗を数えるまでになった。焼き鳥業界での売り上げはナンバーワンを誇るのである。

 そのためか、鳥貴族は追随した『鳥二郎(秀インターワン社が展開)』のロゴマークやメニューの類似が事業を侵害したとして、鳥二郎側にロゴマークの使用禁止及び約六〇〇〇万円の損害賠償を求めた裁判を起こしてもいる(訴訟は昨年十一月二日に和解。和解内容は非公表)。

 また、創業者の大倉忠司氏が『関ジャニ∞』メンバー・大倉忠義くんのお父さんであることでも知られている。

 そんなトリキで起きたトラブルだが、こうした人的ミスが起こる要因を元従業員は次のように説明した。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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