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2010年の教訓 2011年の課題

【特別寄稿】
ドミニク・ストロス・カーン IMF専務理事
「次なる危機を生まないために
必要な新たな政策パラダイム」

【第1回】 2011年1月3日
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金融システム危機や財政問題など、グローバル経済が抱える課題は多い。経済成長を促しつつ、危機を抑えることは可能なのか。各国が協調し、新たな政策パラダイムをつくるべきであろう。

ドミニク・ストロス・カーン
(Dominique Strauss-Kahn)
国際通貨基金(IMF)専務理事 1949年パリ生まれ。経済学者。フランス社会党に所属し、97年から2年間、経済・財政・産業大臣を務めた。2007年11月より現職。Photo: AFP=時事

 20世紀最後の四半世紀、グローバル経済は驚くほど長期にわたって安定成長と低インフレを続けた。このいわゆる「大平穏期」により、多くの政治家は、自らの経済運営能力、金融危機への対処能力について誤った安心感を抱いてしまった。ところが「大平穏期」から「大後退期」に移行するなかで、従来の考え方の誤りが露呈することになる。なかでも最も顕著なものの一つは、金融システムと経済全体との関連性、そして各国経済の相互の関連性を、私たちがいかに理解していなかったかという点である。

 今日、2011年以降の経済を運営していくための新たなパラダイムを政治家たちが模索しているが、経済成長を促すと同時に危機のリスクを抑えるためには、上述のような関連性をもっと理解することが必須になるだろう。

 同じく重要なのは、共に協力することにより、私たちはすべての国にとって利益となるような、より順調で安定したグローバル経済を構築することができるのだという認識を持つことである。

 ここではその意義を三つの政策目標について論じてみたい。

 三つとはすなわち、「より強力で安全な金融システムの構築」「バランスのよい安定した成長の実現」「大規模かつ不安定な資本フローの管理」である。

 より強力で安全な金融システムは、経済が成功するための礎石である。そのためには、金融市場・金融機関に関する合理的なルールを備えた強力な規制が必要だ。誰もがルールを遵守して行動するよう、金融機関は徹底的な監督の下に置かれなければならない。

 さて、ルールと監督体制がいかに優れていても、それでも危機は生じるだろう。だからこそ、窮地に陥った金融機関に対処するための効果的な問題解決メカニズムが必要となる。金融部門内部、そして経済全体にわたって活発な相互作用が見られることを踏まえれば、最終的には、金融システム全体にわたるリスク管理の総合的フレームワークが必要である。

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毎年恒例!超一流の執筆陣を持つProject Syndicate特約の短期集中連載をお届けする。今回も、ポスト危機の経済体制、世界景気二番底の懸念、麻薬との戦いなど、テーマは多岐にわたる。視界不良の2011年を見通すために、世界の英知に耳を傾けよう。

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