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焦点:中国国有企業の債務株式化、投資家にリスクばら撒く恐れ

2016年11月1日

[香港/北京 28日 ロイター] - 中国政府は体力の弱った国有企業向けにデット・エクイティ・スワップ(債務の株式化=DES)を導入した。企業の債務を減らして金融システムへの負荷を軽減するのが狙いだが、代わりに個人投資家を含めた幅広い層にリスクがまき散らされる恐れがある。

中国企業の債務は現在18兆ドル、国内総生産(GDP)の169%に膨らんでいる。

政府は今月、DESについて待望の指針を発表。銀行は、高利回りの理財商品(ウェルス・マネジメント商品)をはじめとする簿外の金融商品を利用して、当該企業に対する債権を間接的に買い取ることが可能になった。これらの金融商品には、個人投資家からの資金が流入している。

指針を受けて発表された国有企業のDESは今のところ2件で、中国建設銀行(CCB)<601939.SS>が雲南錫業<000960.SZ>と武漢鋼鉄<600005.SS>の一部債権者から債権を買い取り、それぞれ株式に交換する。

CCBは債権買い取りに使える理財商品などさまざまな簿外金融商品を保有している。

サンフォード・C・バーンスタインのシニア中国アナリスト、ウェイ・ホウ氏は「債務軽減の全体規模は巨大になりそうだ。再編や再評価、何らかの株式への交換が必要な債務は数百億ドルとは言わないまでも数十億ドルに上るだろう。銀行内のリスクをより幅広い資本市場で分担することになる」と語る。

個人投資家がリスクを負う可能性について、CCB、武漢鋼鉄、雲南錫業のコメントは得られていない。

<影の銀行対策に逆風>

DESを巡っては、銀行が弱体企業の株式を直接保有すべきではないとして銀行業界から抗議の声が挙がり、今回のルールが導入された。

招商銀行<600036.SS>のDing Wei副頭取は近ごろ記者会見で、DESで良いリターンが得られるのなら、理財商品の資金を投じることに興味があると述べた。

しかし、理財商品と言えば中国で影の銀行の爆発的拡大をけん引した商品だ。国際通貨基金(IMF)によると、影の銀行部門は中国GDPの約6割の規模に達している。

中国政府が進める影の銀行抑制策に対し、企業債務の軽減措置は逆風になりかねないとアナリストらは指摘する。

フィッチ・レーティングスの金融機関担当アソシエートディレクター、ジャック・ユアン氏は「つまるところ、今回の措置はより大きなリスクを金融システムに逆流させる可能性がある。そうやってシステミックリスクは蓄積し続ける」と話した。

(Sumeet Chatterjee記者 Shu Zhang記者)

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