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焦点:世界の外貨準備、ハードブレグジットならポンド保有減少も

2016年11月3日

[ロンドン 1日 ロイター] - 中央銀行の外貨準備見直しの動きは緩やかに進むことが多い。ただ、英国の欧州連合(EU)離脱が、単一市場へのアクセスを失うという経済への打撃が大きい「ハードブレグジット」となれば、世界の外貨準備に占めるポンドの比率が低下する事態につながることが懸念される。

英国は世界有数の経常赤字国。昨年は対国内総生産(GDP)比で5.4%と記録の残る1948年以降で最悪の水準となり、足元は約5.9%となっている。

収支均衡のためだけに、毎年何千億ポンドにも上る海外からの資本流入が必要で、外国中央銀行の外貨準備のためのポンド需要が安定的な資金供給源になっている。国際通貨基金(IMF)によると、世界の中銀は平均して毎年300億ドル相当、ポンド準備を積み増しており、少なくとも英国の経常赤字の4分の1を賄っている計算だ。

IMFによると、現在の国際外貨準備額は11兆ドルで、このうち通貨構成が公表されているものは7兆5100億ドル。その中でポンドが占める割合は4.69%程度で、ドル(63.39%)とユーロ(20.18%)から大きく離された3位のポジションにあるが、この先さらに後退しかねない。

格付け会社の格付会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は先週、「最近のポンドの急落は、ポンドの信認を低下させ、国際準備通貨としての役割を脅かしかねない」と指摘。外貨準備に占める比率が3%を下回ったなら、もはやポンドを準備通貨とみなさず、その場合、英国債の格付けを再び引き下げる可能性もあるとの見方を示した。

米シンクタンクの外交問題評議会のシニアフェローで米財務省の元アナリストでもあるブラッド・セッツアー氏は、外貨準備の運用責任者が保有外貨の多様化のため、ドルの代替通貨などとして選んだ結果、過去10年間ポンドは身の丈以上の扱いを受けてきたと説明。「ポンドは重要な準備通貨になったが、引き続き重要な存在でいることができるのかが問われている」とし、外貨準備に占める比率が3%まで下がったとしたら、それは「身の丈以下」の扱いだと述べた。

準備通貨としてのポンドの重要性は外貨準備の4.54%を占める日本円に近い。ただ、日本は世界第3位の経済大国で、英国と違い、1980年以降、毎年経常黒字を計上している。条件が同じなら、円はポンドと違って、上昇する方向にあると言える。

イングランド銀行(英中銀、BOE)が今秋公表したデータによると、海外投資家が9月に購入した英国債は正味132億7000万ポンドに上り、ここ1年程度で最高となった。ところがメイ首相の10月上旬の発言を巡り、EU離脱がハードブレグジットになる可能性の方が高いとの見方が市場で広がり、ポンドは対ドルで31年ぶりの安値をつけた上に、貿易加重ベースでは過去最低水準に迫った。ポンドにつられて英国債も売られるという、ここ1年みられなかった動きも現れた。

このことは、投資家がポンドとともに英国債にも愛想を尽かそうとしていることを示しており、今後も続くなら英政策当局者にとっては悪夢のシナリオとなる。収支均衡のため、他国からの資本流入に依存する英国にとっては、流入する資本の枯渇を単に暗示するような出来事だけでも、重大な結果をもたらす可能性がある。

中銀が外為市場での短期的な変動を受けて、準備通貨の保有比率を急激に見直すことはない。それでも、積極的な購入を避けることで保有資産を変化させることはありうる。つまり、長期的に保有額を減らしたり、全体に占める割合を下げるということだ。

外交問題評議会のセッツアー氏は「ポンドが安いからといって、各国の中央銀行が寄ってたかってポンドを買いに走るとは思えない」と話している。

(Jamie McGeever記者)

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