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40代からの人生の折り返し方 野田稔

好きな仕事が「本当の志向性」を体現しているとは限らない

野田 稔 [一般社団法人 社会人材学舎 代表理事]
【第40回】 2016年11月7日
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言葉が大事なのか
曲や音楽が大切なのか

「○○をやりたい」という思込みが強すぎて、自ら窮屈な場所へと追い込んでいませんか?

前回から、WILLと原点canの違いを論じています。キーワードは「好きこそものの上手なれ」。「○○をやりたい」という自らの意志はもちろん大切ですが、実は、自分自身の可能性を狭めてしまうことにもつながりかねないのです。人間は思い込みの生き物です。「自分はこうだ」と決めつけてしまって、本当にやりたいことすら見えなくなってしまうものです。

 友人に、私が勝手に「歌舞音曲マスコミ系」と呼んでいる人がいます。仕事はマスコミ一筋、それも活字媒体の人なのですが、最近になって歌舞音曲の趣味が高じて、席亭としても活躍をし始めています。

 聞けば、若かりし頃はミュージシャンに憧れて、次が映画関係、それが大学卒業後、出版社への入社に落ち着いたのだとか。

 彼曰く、「WILLを貫こうとしたのではなく、やれること、ただし、やっていて気持ちがいいこと。ああ、これが好きなんだと思えた方向に進んできたように思う」。

 まさに原点canを大切にして来た人です。これがキャリアの志向性です。志向性とは、人間の意識が何かに注意を向けることを言います。我々が意識をしているという時、それは何かに注意を向けていることです。意志、と言うよりは意識です。意志のように力強く歩み寄るのではなく、自然と引き寄せられる対象です。志向性とはそのような感じのものです。

 その彼は音楽も大好きです。私も音楽が大好きなのですが、よくよく語り合ってみると、2人の間には音楽というものの捉え方に大きな違いがあるということがわかりました。

 つまり、私は音の人であり、彼は言語の人であるという違いです。彼は、書き言葉か話し言葉か歌う言葉かは関係がなく、「言葉による表現」をこよなく愛しているのです。彼にとって音楽とはメッセージそのもののようです。

 メッセージをいかにうまく伝えるかにおいて音楽、つまりメロディーやテンポ、和音が存在するわけです。言うなれば彼にとって、音楽とは言葉によるメッセージの伴奏ということになります。古典芸能の様式も同様にメッセージを送るための媒体です。それらはメッセージを完成させるための道具にすぎないのです。

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野田 稔 [一般社団法人 社会人材学舎 代表理事]

明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科教授/株式会社リクルートホールディングス リクルートワークス研究所 特任研究顧問。野村総合研究所、リクルート社新規事業担当フェロー、多摩大学教授を経て現職に至る。日本テレビ系列「ズームインスーパー」、NHK総合「経済ワイドビジョンe」「Bizスポワイド」、NHKEテレ「仕事学のすすめ」などメディアでも活躍。主な著書に『組織論再入門』『中堅崩壊』(以上ダイヤモンド社)、『二流を超一流に変える「心」の燃やし方』(フォレスト出版)『企業危機の法則』(角川書店)など多数。


40代からの人生の折り返し方 野田稔

40代は時計で言えば、ちょうど昼の12時を回った人生の午前中が終わったばかりだ。人生折り返し、1日に例えれば、午後をいかに過ごすか。黄昏が訪れる前に上手に人生を折り返す方法をこの連載では考える。

「40代からの人生の折り返し方 野田稔」

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