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吉田恒のデータが語る為替の法則

期待はずれの雇用統計でも、ドル/円は
1月陽線引けとなりそう! そのワケとは?

吉田 恒
【第113回】 2011年1月12日
著者・コラム紹介バックナンバー

 1月7日に発表された米国の2010年12月の雇用統計は、注目されたNFP(非農業部門雇用者数)の前月比増加幅が、事前予想を下回りました。

 それでも、目先の米ドル高の流れは変わらないのではないでしょうか?

「1月第1週効果」なら、8割の確率で1月は米ドル高に

 米ドル/円の年明け早々、1月第1週の方向性は、1月の月間を通しての方向性を先取りする傾向があります。

資料1

 「資料1」は、1月第1週の米ドルの週足と1月の月足について、過去10年間を調べたものですが、8割の確率で一致していました。
資料1

 今年の1月第1週の米ドル/円は81円台前半でスタートしましたが、前述のようにNFPが事前予想より悪く、米ドルは反落したものの、それでも週末の米ドル/円の終値は83円台前半でした。

 つまり、1週間を通じて見ると、米ドルは陽線(米ドル高)引けだったのです。

 これに「1月第1週の週足は、8割の確率で1月の月足と一致する」といった経験則を当てはめると、1月の終値で米ドルが81円を下回る可能性は低く、1月は8割の確率で米ドル高で終わる見通しになります。

 「1年の計は元旦にあり」ということわざがありますが、それと似たような金融市場の言い回しとして、1年の相場は1月で決まるといった意味の「1月効果」という考え方があります。

 それを米ドル/円に当てはめると、1月相場は1月第1週で決まるといった「米ドル/円の1月第1週効果」ということになるのかもしれません。

FRBにとっても米国の失業率の改善はサプライズだった

 それでも、2010年12月の雇用統計の結果は期待はずれで、そんな経験則は今回、はずれるかもしれないと思っている方もいらっしゃるでしょうか?

 ただ、NFPは事前予想より悪かったものの、失業率に対する評価は正反対で、FRB(米連邦準備制度理事会)のメンバーもビックリの良い結果だったのです。

 今回発表された2010年12月の失業率は、前月の9.8%から9.4%へと大きく低下し、大幅改善となりました。

 FRBのメンバーは、この2010年12月の失業率をどのように予想していたでしょうか?

 FRBのメンバーはエコノミストではないので、毎月の失業率の予想を公表していません。ただし、年末時点の失業率については、年に数回「見通し」として公表しています。

資料2

 その2010年末時点における失業率の見通しの中心は、2010年6月開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)での公表ベースでは9.2~9.5%でした。

 さすがFRB、2010年12月に失業率が9.4%になることを半年前から的中させていたということになるでしょうか?

 しかし、残念なことに、昨年11月に開かれたFOMCの会合で、この見通しは修正され、2010年末の失業率見通しの中心を9.5~9.7%に変更したのでした。

 変更直後に発表された2010年12月の失業率が9.4%だったわけですから、FRBはさっそく、失業率の予想をはずしてしまったのです。

 つまり、米国の失業率は、FRBの予想を超えるような急改善を見せているのです。

 毎月の景気指標は振れやすいものですから、1回の結果だけではまだよくわかりませんが、失業率こそFRBの金融政策への影響が大きく、米国の利上げへの転換のカギを握るものだけに、注目されるところでしょう。

失業率が9%以下になりそうになったなら、米利上げへ

 次のページの「資料3」は、失業率と米国の政策金利である「FFレート」を、それぞれ少し加工した上で重ねてみたものですが、これを見ると、失業率はほとんどFFレートそのものです。

 ただ、最近はFFレートと失業率の関係が大きく崩れています。これは基本的に、政策金利をマイナスにできないからです。

 逆に言えば…

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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