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「英ポンド安」反転か、ハードブレグジット懸念後退

ロイター
2016年11月8日
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11月4日、英ポンドは英国のEU離脱を巡る警戒感を背景に1年前から売り基調が続いていたが、ここへ来て流れが変わる可能性が出てきた。写真は1ポンド硬貨。2008年撮影(2016年 ロイター/Toby Melville)

[ロンドン 4日 ロイター] - 英ポンドはは英国の欧州連合(EU)離脱を巡る警戒感を背景に1年前から売り基調が続いていたが、ここへ来て流れが変わる可能性が出てきた。

 ロンドンの高等法院が3日、英国が欧州連合(EU)離脱手続きを正式に開始するには議会承認が必要との判決を下したことで、経済的打撃を厭わず政治優先でEU離脱に突き進む「ハードブレグジット」の懸念が後退。ポンドは売り持ちポジションが高水準に達しているだけに、判決をきっかけに売り基調が一変しかねない。

 EU離脱の是非を問う6月の英国民投票前から売られていたポンドは、メイ首相がハードブレグジットへの支持をほのめかすと下げが加速。先月はエジプトポンドやナイジェリアナイラと並び、先月最も下げのきつかった通貨の1つとなった。

 年金基金や投資ファンドなど為替相場の流れを左右する大手運用主体と契約を結んでいる保管銀行によると、こうした「リアルマネー」の投資家はこぞってポンド安を見込んだ取引を行っているという。

 しかし高等法院の3日の判決で、英政府のEU離脱のスケジュールには疑念が浮上。EU残留や「ソフトブレグジット」を支持する派にとって大きな追い風となり、年内の総選挙実施の観測まで浮上する事態となった。

 さらに米大統領選で共和党候補トランプ氏が勝利すればドルが急落するとの観測も重なり、ロンドンとニューヨークのディーリングルームでは緊張感が高まっている。

 ミレニウム・グローバルのポートフォリオインベストメント部門の共同ヘッド、リチャード・ベンソン氏は「8日の大統領選でトランプ氏が勝てば大変なことになる。ポンドは仮に1.2650ドルを抜けばどうなるか分からず、警戒している」と話す。

 英株式市場では、ポンド安で恩恵を受ける輸出企業の株を買う動きも広がっている。しかしBNPパリバは4日、こうした取引を手じまうよう顧客に推奨。「ポンドは既にブレグジットについて最悪のシナリオを織り込んでおり、FTSE100種のプット(売る権利)を通じて冬の時代に備えるべきだ」と指摘した。

 ポンドは足元で売り持ちがかつてないほどの高水準となっている。シカゴ・マーカンタイル取引所で過去20年間にポンドが極端に売り持ちに傾いた7回のケースを振り返ると、その後の数週間から数ヵ月の間にポンドは平均12%値を戻している。目立った例外は世界金融危機時の2008─09年で、このときは32%の下落だった。

 ゴールドマン・サックスのアナリストチームは、ハードブレグジットの可能性は小さくなったと分析。ポンドは目先、1.26ドル付近で推移しそうだとしている。

(Patrick Graham記者)

 

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