コーヒーにミルクを入れると「集中力」が奪われる

──もうひとつ読者からよく質問をいただくのが、本書で紹介されている「完全無欠コーヒー」についてです。「完全無欠コーヒー」は、なぜ身体にも脳にもいいのでしょうか?
*編集部注=「完全無欠コーヒー」とは、コーヒーとグラスフェッド牛(牧草飼育牛)の無塩バター、ココナッツオイル(もしくはMCT〈中鎖脂肪酸〉オイル)を攪拌してつくるコーヒー。『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』では、これを朝食として飲むことを薦めている。

アスプリー まず、一般的にコーヒーに入れるミルクはコーヒーに含まれる抗酸化成分と結びつく性質を持つため、体に有効成分を取り入れづらくなってしまいます。また、ミルクに含まれる糖分は血糖値を上げますが、上がった血糖値はほどなくして下がり、空腹を煽り、食べることに注意を向けさせ、あなたの集中力を奪ってしまいます。

 一方、グラスフェッドの無塩バターはコーヒーの抗酸化成分と結合しません。また、バターとオイルに含まれるクリーンな脂肪から脳に必要なエネルギーが摂取できるのに、血糖値は安定したまま。だから集中力がずっと続くんです。シリコンバレーでもウォール街でも、私がアドバイスしている多忙な──それこそ日本人に負けないくらい──ビジネスマンは、「完全無欠コーヒー」を飲んでミーティングに向かうんです。空腹に悩まされずに済みますし、カリカリせずにいられますから。

 そうそう、英語には「hungry」と「angry」の2つをかけた「hangry」(空腹でイライラする)という言葉があります。日本人は自分に合わない食事のせいで空腹に悩まされ、イライラしているはずなのに、みんな礼儀正しくて尊敬します。アメリカ人はすぐに外に出してしまいますから(笑)。

「果物とヨーグルト」は太る最悪の組み合わせ「完全無欠コーヒー」をいれるアスプリー氏

──普通のバターではなく、グラスフェッド(牧草飼育)牛のバターである必要性は?

アスプリー グラスフェッド(牧草飼育)の牛から取れるミルクは、グレインフェッド(穀物飼育)の牛のミルクに比べてビタミンなどの栄養素が豊富で、質の良い脂肪分が含まれ、体に炎症を抑え、脳のはたらきにも良い影響を及ぼします。日本のみなさんにとっては手に入れづらいという難点はありますが、グラスフェッドバターにはそれだけの価値があると言っていいでしょう。

 また、「完全無欠コーヒー」をつくるときには、どんな豆を使うかも大切です。コーヒーは製造過程でどうしても毒素が出てしまうものですが、私が製品化した「完全無欠コーヒー」で使う豆はテストにテストを重ねています。日本の規定よりはるかに多い27種類もの毒素に対して検査を行っているのです。